約 984,067 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3994.html
我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン! 我の運命に従いし、"使い魔"を召喚せよ! もうもうと立ち込める砂塵があたりを覆わなくなったころ、爆心地には奇妙なものがあった。 「・・・なによこれ」 サモン・サーヴァントがようやく成功し、歓喜に満ち溢れていたルイズは自分が召喚した それ を見て表情を曇らせた。 「ミスタ・コルベール!やり直しをさせて下さい!!」 「だめです。儀式は神聖なものです」 「でっ、でも! あれ どうみても生き物じゃありません!」 「早くコントラクト・サーヴァントを行いなさい。そうでなければ進級できませんよ」 「そんな・・・」 我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール 五つの力を司るペンタゴン この者に祝福を与え、我の使い魔となせ ルイズは召喚した それ に対して契約を行った。 それ は人よりもはるかに大きく、四角く、白かった。 それ は人ではなかった。触れてみるとひんやりとしていた。 それ は人を多く収容できるほどの空洞と屋根を持っていた。 「本当になんなのよ これ ・・・ あら、なにかしらこれ」 ルイズは それ の近くに一枚の紙が落ちていることに気がついた。 その紙にはこう書かれていた。 「やっぱりイナバ百人乗っても大丈夫!」 株式会社稲葉製作所より「イナバ物置」を召喚
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4245.html
前ページ次ページ虚無の魔術師と黒蟻の使い魔 「皆さん。春の使い魔召喚は、大成功のようですわね。 このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、様々な使い魔達を見るのがとても楽しみなのですよ」 使い魔召喚の儀の翌日。最初の授業の冒頭に教壇に立つ教師は、そう言った。 (あちゃー。言っちゃった) キュルケは心の中でで舌打ちした。 シュヴルーズの浅慮に対してである。 この言葉は導火線に火を点けたようなものだ。まわりまわって昨日のルイズの召喚の結果を笑いものにするような流れになるだろう。 形としてはドミノ倒しの最初の一枚目を倒したと喩えるほうが相応しいのだろうが、繋がっている先が爆弾なのだから、やはり導火線だ。 (男子生徒。あの太った……なんて名前だっけ? まぁ、あのあたりね) 「おい。ゼロのルイズ。ちゃんとあの使い魔は連れてきたのか?」 キュルケの思ったとおり、マリコルヌがルイズを冷やかす。 (そしたら今度はギーシュあたりが合いの手入れて……) 「おいおいマリコルヌ。正確に言いたまえよ。『連れてくる』じゃなくて『持ってくる』だろう?」 やはりキュルケの思ったとおりに、ギーシュがマリコルヌにあわせる。 (ホント、男って単純。それでルイズが輪をかけて単純だから、あと二・三言、何か言われたところでドカン!ね。あの先生、どうもルイズの爆発に対して危機感が足りないんじゃないかしら。爆発する前に止めてくれればいいんだけど) キュルケはそんなことを思いながら、何時でも机の中に潜れるように体勢を整える。 「そうだなギーシュ。だけど『持ってくる』よりもっと相応しい言葉があるよ」 (はい、カウントダウーン。さーん) 「ん? なんだい?」 (にーい) 「そこらへんに幾らでも落ちてるんだ。『拾ってくる』だろ?」 (いーち) 「「あはははは!!」」 (はいゼロ) キュルケは急いで机の下に潜ろうとするが、そこでルイズの様子がいつもと違うことに気がついた。 普段だったら凄い剣幕で席を立ち上がり、ギャーギャー騒いだ上であの二人に杖を向けてるだろうに、今日のルイズは悔しさをかみ締めたような顔で席に座ったままだ。 (あの子、少し変わったのかしら? でも言われるままなんてのもつまらないじゃない) 爆発されたら迷惑だなどと思っておきながら、ルイズが怒りを堪えたら堪えたで不満に思うキュルケ。 自分は男子生徒のような品のない茶化し方はしないと思っていても、キュルケ自身もルイズを茶化してその反応を楽しむのが好きなのだ。 それがあの有様では張り合いがないではないか。 「あー、でもそこらへんの石じゃ駄目じゃないか、マリコルヌ。あの板状の石だからいいんだろ」 「え? ん? あぁ、そうか! あの平面がいいんだな! まっ平らなところが使い魔と主でおそろいなのか!」 だん! ルイズが机をたたき立ち上がった。 「あ、あんた達覚悟はできてるんでしょうね」 ルイズは震える右手で杖を握り締め、怒りのあまり左のまぶたがぴくぴくと痙攣している。 (まぁ、そう簡単に人は変わらないわよね) 「あなた達! クラスメイトの悪口で盛り上がるとは何事ですか!」 ここでやっとシュヴルースがギーシュたちを諌める。 赤土を口に詰め込まれ苦しむギーシュとマリコルヌを見て、どうやらルイズの怒りは収まったらしい。 (まったく遅いわよ。普段だったら一つ前のタイミングでドカン!だったわ。ことなきを得たからいいけど、爆発物はもうちょっと気をつけて扱ってもらわないと) やれやれといった感じでため息をつくキュルケ。そこに信じられない言葉が飛んでくる。 「ではミス・ヴァリエール。せっかく立ち上がっているのだし、前に出て錬金の実演をしてもらいましょうか」 キュルケは思わず隣に座る親友のタバサを見る。タバサはまさに机の下に潜ろうとするところだ。 「聞き間違いってわけじゃないのね」 コクリ。キュルケの言葉にうなずくタバサ。 あわててキュルケも机の下に潜り込む。 「百聞は一見にしかず」 タバサのぼそりと呟く。 「そうね。実際に一度目の前でルイズの爆発を見れば、あの先生もルイズの扱いを覚えるでし―――」 ドォン! と爆音が鳴り、キュルケの言葉は途中で遮られた。 キュルケは机から恐る恐る顔を出し、被害状況を確認すると立ち上がる。 「見るだけでは済まないわよね、あの位置じゃ。まぁ、解りきった一年の復習なんてつまらない授業がつぶれたんだから良し、ね」 教壇には煤にまみれたシュヴルースが転がっていた。 「ひょっとしたらって思ったんだけどなぁ……」 ルイズは教室の片づけをしながら一人ごちた。 ルイズの爆発を受けたシュヴルースが、その意識を手放す前に、ルイズに爆発の後始末を命じたのだ。 破損した机などを運ぶのはルイズにはかなりの重労働であるが、片付けないことには授業への参加を許されない。 乗馬を得意とし、学院の女生徒の中では比較的体力のあるルイズではあるが、所詮は貴族の娘の中での話である。肉体労働には身体的にも精神的にも向いていない。 少し片付けては、休憩、愚痴の繰り返し。まだまだ先は長い。 (サモンサーヴァントはともかく、コントラクトサーヴァントは問題なく成功したのに……) サモンサーヴァントはモッカニアの『本』を呼び出したとはいえ、爆発も同時に起こっていたので成功と言えるかは微妙だ。だが、コントラクトサーヴァントは爆発も起こらず、きちんとルーンが刻まれたのだ。 それならばと、今までとは違う結果になると期待して錬金に挑んだのだが……。 ただ、ルイズの心の中が楽観で占められていたというわけでもない。 事実、朝、幾ら時間があっても魔法を試そうとは思わなかった。本当に魔法が使えるようになったのか、確かめるのが不安だったのだ。 シュヴルースに命じられることで、やっと踏ん切りをつけたのに、その結果がこれである。 (でも! でも、もうゼロじゃないんだから! 確かに魔法を成功させたんだからゼロではないわ。これから一杯練習すればきっとほかの魔法だって成功するんだから) 何とかポジティブな思考にもっていくルイズ。 こればかりはモッカニア本人ではなく、モッカニアの『本』が召喚されてよっかったと思う。 系統魔法とは別物とはいえ、魔法の才に溢れたモッカニア本人の前で醜態を晒したら、こんな精神状態ではいられないだろう。 モッカニアがどういう反応を見せるのか、想像もしたくない。そして間違いなくモッカニアの才を妬む自分。考えたくもない。 そして何より、モッカニアの才に嫉妬する自分をモッカニアに見られるということが受け入れ難い。 嫉妬というのは醜いものだ。 本音を言えば、ルイズは大いに嫉妬している。 難なく魔法を使うクラスメイトに。 突出した魔法の才能を持つ家族に。 そして、モッカニアに。 だからルイズは虚勢を張る。 幾ら魔法が失敗しようとも卑屈にはならない。貴族の誇りを大切にし、そして己を誇る。 魔法が使えないルイズが誇りを重んじる姿を、中身の伴わないプライドと陰口をたたく者がいることも知っている。 そして、ルイズが魔法を使える者に嫉妬していると、きっと皆そう思っているだろうとも思う。 だからと言って醜い己を晒すことは良しとできない。 ただモッカニアだけは別だ。 物言わぬ『本』となったモッカニア。 ルイズの醜さを見ることはなく。そしてルイズの醜さに何を思うこともない。 「私はあなたが羨ましくてならないわ。あなたの才能を少しでも分けて欲しいと思ってるのよ」 誰もいない教室でルイズはモッカニアの本に語りかける。 生前のモッカニアは、それこそ多くの者からその才能を妬まれただろう。 何せ、世界最強の一角だ。 世界最強の称号、当時のバントーラ図書館館長代行、ハミュッツ=メセタと並び称される実力。 嫉妬しないほうがおかしい。 ハルケギニアに生まれ育ったルイズにはいまいち理解しがたいが、モッカニアの世界では魔法と同じぐらい体術も重要視される。 そんな中、魔術ならモッカニア、体術ならハミュッツとまで言われるのだ。 「でもいつかあなたの主として相応しいぐらいのメイジになって見せるんだから!」 ルイズはモッカニアに、そして己に宣言するように言う。 そして、 そして、決意も新たに教室の片付けに戻った。 (やっぱりめんどくさい……) 立派なメイジになるという決意は、教室の片付けにはこれっぽちも役に立たない。 少し片付けては休み、愚痴る。このサイクルでは終わらない。 ルイズは新たに片付けながら愚痴り、愚痴りながら休むというサイクルに変更する。 「何で、こんなこと、しなきゃ、なんないのよー!」 愚痴る。 「腰が……腰がぁ……」 愚痴る。 「こんなの平民の仕事でしょーにー!」 愚痴る。 「モッカニアの主に相応しいメイジになるって決意したそばから、何でこんなことしてるのかしら……」 愚痴る。 「モッカニアの主に相応しいのは片付け上手の女の子です……なんて……うふ、うふふふ」 少しやばいテンションで愚痴る。 「モッカニアの主に相応しいって。あれ?」 はたと何かに気づいたように手を止めるルイズ。 「普通……逆よね?」 なぜ使い魔召喚の儀式が行われるのは2年への昇級の直前なのか。 それは、召喚された使い魔によってそのメイジの属性を決め、それから各属性の専門的な授業を行うからである。 なぜ使い魔で属性が決まるのか。 それは「そのメイジに相応しい使い魔」が召喚されるからである。 今の今までそれを失念していた。 使い魔召喚の儀式は『属性を決めるための儀式』でもあるのだ。 そのメイジにどういった系統の才能があるのか。それを調べるための儀式なのだ。 満足に魔法の使えないルイズとモッカニアを実力で比すれば、主従として相応しいとはとてもいえない。 だがサモンサーヴァントで呼び出された以上、系統的には相応しい存在であるはずだ。 (モッカニアの系統が判れば、私の系統も判る! 系統が判れば、メイジとして一歩前進できるかもしれない!) 片付けの手を止め、ルイズはきれいな机のうえに腰掛ける。 そして巾着袋に入れて持ってきたモッカニアの『本』をひざの上に乗せ、真剣に考える。 ルイズの思考はすぐに壁にぶち当たる。 (私は一体何を召喚したのかしら?) 召喚されたのはモッカニアの『本』。 だが『モッカニア』を召喚したと考えるべきなのか、『本』を召喚したと考えるべきなのか。 『モッカニア』に注目するか、『本』に注目するか。それで話は随分変わってしまう。 (考え方としては3つね) まず『モッカニア』という要素を無視して『本』にのみ注目して、ひざの上の『本』を見る。 『本』。それは人間の魂の化石だ。 (1つ目の考え方……私は『化石』を召喚した) 化石ならば土だろう、とルイズは思う。 ルイズには化石がどういって作られるかといった知識はないので、地面から出てくるのだから土系統といった認識である。 実際、ほとんどの化石は骨や殻などの組織が鉱物に置き換わったものである。 化石としてみるなら土系統というのは間違っていないだろう。 (次。2つ目。私は『人間の魂』、いや、『人間』を召喚した) 『人間そのもの』か、『魂』か。その違いを無視していいのか、少し悩んだが、『魂』も結局人間の一部なのだから、人間として考えることにする。 (……駄目。ボツ。人間の系統なんて判るわけないじゃない。せいぜい、風じゃなさそうってレベルしか解らない。風のメイジの使い魔は、基本的に空を飛べる生き物だものね。他の火・水・土はどれも生活の中で使うし、逆にこれってのもないわ) (最後。3つ目。今度は今まで無視してきた『モッカニア』という要素。私は『モッカニア』を召喚した) 人間という種族ではなく、モッカニアという個人。モッカニアの個性から系統を割り出す。 それならば、モッカニアの魔法を踏まえるべきだろう。 聞いたこともない話だが、もしハルケギニアのメイジを召喚したとして、火系統のメイジを召喚したならやはり召喚者も火系統だろう。 (モッカニアの魔法……うーん、まぁ、土……かしらね? でも……) モッカニアの魔法は系統魔法ではない。 それを系統魔法の才能と直接繋げてしまっていいのだろうか。 (だけど、それじゃぁモッカニアは系統魔法を使わないから、私も属性はなしとでも言うの?) (そんなの認めないわ! それにモッカニアは系統魔法を知らないから使おうとしたこともないだけで、系統魔法の存在を知ってれば使える可能性だってあるわけよね) (それこそ逆に、逆に私が……) 「私がモッカニアの世界の魔法を使える、ってのも……アリなのかしら?」 思わず思考が口から漏れる。 ひざの上のモッカニアの『本』を見る。 「アリ……なのかしら」 ルイズはモッカニアの『本』を机の上に置くと立ち上がり、落ち着きなくぐるぐると歩き出す。 「いや、うん。ない。いや! アリ。まぁ、うん」 ルイズの顔は変ににやけている。 「アリ。まぁ、アレよ。うん。とりあえず、試してみるのは……アリ、なんじゃないかしら。いや、別に期待しているわけじゃないんだからね、うん」 そういって一人何度も頷くと、机に戻りモッカニアの石に触れる。 モッカニアの司書養成所時代の部分を読み、モッカニアの世界の魔法についておさらいする。 モッカニアの世界の魔法、『魔法権利』などとも呼ばれるそれは、ハルケギニアの系統魔法とは根本的に異なる。 系統魔法の場合。 例えば風の系統のメイジでトライアングルのクラスだったら、使える魔法はエアカッター、エア・ニードル、エア・ハンマー、ジャベリンなどなど。多少の個人差はあれど、系統とクラスで使える魔法はある程度共通している。 自分の系統の、自分のクラスより下の魔法は大体使えるものだし、他の系統の魔法も初歩的なものだったら使えたりと、魔法を修めれば修めただけ多くの魔法が使えるようになる。 魔法権利と比較した場合、系統魔法の特徴は、『既存の魔法を、いろいろ使える』というところだろう。 魔法権利は反対だ。 幾つもの魔法を使えるような者はほとんどいない。 魔法についてはエリートとも言える武装司書にも、実用に耐えるレベルの魔法はせいぜい2つか3つといった者がほとんどだ。 そして、系統魔法と違い既存の魔法を学ぶのではなく、新しい魔法を作り出すことこそが魔法権利の本分だろう。 もちろん既存の魔法が完全に軽んじられているわけではない。 武装司書の場合、強くないと勤まらない仕事なので『肉体強化』という超人的な身体能力を手に入れるためのの魔法を身につけることが必須である。程度の差はあれ、武装司書ならほぼ全員習得している。 だが一流の戦士は、その上で自分だけの固有の魔法権利を習得するのだ。 モッカニアは魔法に関して、決して器用なほうとはいえない。 『思考共有』という人の意識に直接言葉を届ける魔法がある。肉体強化のように武装司書として必須といまではいかないが、ある程度実に着けているものの多い魔法権利といえる。 一定以上のレベルに達しないと自分から思考を送ることはできないが、多少の素養があれば送られてきた思考に返事を返すことはできる。 自分から思考を送れる者は少ないが、それに返信をする程度の修練を積んだ者は武装司書の中には多くいる。 だが、モッカニアの場合は、自分から思考を送るのはおろか、思考を返すこともできない。 しかし、モッカニア固有の魔法権利。そのあまりにも強大な力によって最強と呼ばれているのだ。 魔法権利は魔術審議と呼ばれるものによって習得する。 魔術審議は、神の定めた世界の公理を書き換える手続きだ。 世界の公理。物が上から下に落ちる。鳥は空を飛ぶ。魚は海を泳ぐ。そういった世界の常識、世界の秩序。 それを一部書き換える。 それが魔法権利だ。 どれだけ世界の常識を変えられるか。それが魔法の強さである。 そのため、魔術審議は大人になり常識に凝り固まってしまうと成功しない。逆に、幼すぎると混沌に近寄りすぎて命を落としてしまう場合すらある。 司書養成所では13歳から魔術審議を始める。二十歳過ぎぐらいで新たな魔法権利の獲得が困難になる。 現在ルイズは16歳。 魔術審議を行うにはちょうどいい年齢だ。 ルイズは、椅子に楽な姿勢で座ると瞳を閉じ息を整える。 意識から外界を遮断し、己の内へ内へと意識を向ける。 今まで系統魔法を身に着けるために瞑想の類も幾度も試してみた経験からか。それともモッカニアの『本』で魔術審議をするモッカニアを己のことのように間近で見たからか。はたまた別の理由か。 意外にもすんなりとルイズの意識は奥へ奥へと向かっていく。 そしてモッカニアの『本』で覚えた魔術審議の文言を唱える。 (行くものは行かず、来るものは来ない。月は太陽。小鳥は魚。生者は骸。鋼鉄は朧。全ての現は夢にして、幻想は全ての現なり。あるものはなく、なきものはあり、万物を虚偽と定義して、これより、魔術審議を執り行う) 魔術審議が始まった。意識の最奥に分け入り、自らの意思で世界の公理を書き換える。 神の定めた世界の公理を侵食し、自らの望む形に作り変える。 (ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは黒蟻を生み出す) (ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは黒蟻を生み出し操る) (ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは黒蟻を生み出し意のままに操る) ルイズは心の中で唱えながら、自分が蟻を操る姿を強く想像する。強く、より精密に想像する。 モッカニアの魔法権利。それは蟻を生み出し操るというもの。 モッカニアの『本』のみによって魔法権利を知ったルイズは、特に意識するわけでもなく、自然とその魔法を選んでいた。 魔術審議が終了した。 世界の公理が変わった、ような気がした。 ルイズは一つ深呼吸をすると、右手のひらを上に向け、瞳を閉じ、意識を集中する。 「出て来てっ!」 そう言うと、ゆっくりとまぶたを開く。 徐々に世界が開ける。手首から少しずつ視線を上げていく。 ルイズの手のひらには、一匹の蟻がいた。 「はぁ~、そうよね。モッカニアを使い魔にしたからってそんな簡単にいかないわよね。なんというか、かめはめ波をまじめに練習する子供みたいだわ。あれ? 『かめはめ波』って何だったかしら。 まぁ、それに魔術審議って一年ぐらいかけてやっとできるようになるものみたいだし。まぁしかたないわよね……って、いるぅ!?」 ルイズにとって生まれて初めてのノリツッコミだった。 「え? うそ。ホント? ホントに? いる。確かにいるわ」 ルイズの手のひらには、通常の蟻と比べてはるかに大きな黒蟻がいる。その大きさはルイズの中指と同じぐらいだろうか。 「どど、ど、どーしよ、どーしよ。も、もう! 出てくるなら先に言ってって言ったじゃない! 私がハシバミ草嫌いだって知ってるのにご飯に入れるんだからー!」 ルイズは混乱のあまり意味のわからないことを口走っているが、自分が何を言っているのかすら解らず、右手に蟻を乗せたままうろうろと歩き回る。 「大体何よ、スバヤティって! そんなのあり痛ぁっ!!」 ルイズの奇行は突如手のひらに走った痛みによって止められた。 痛みに目を向けると黒蟻が噛み付いていた。 「痛っ! 放してっ! 放せ!」 するとルイズの言葉に反応したように、黒蟻は手のひらに噛み付いた顎を放す。そこから赤い血が溢れ出す。 痛みがルイズの頭を冷静にしていく。 ひとまず蟻を机の上に置き、ハンカチを傷口に押し当てる。 (でも、私の命令を聞いたわね。ほ、本当に魔法が成功したの? 落ち着くのよ、ルイズ。落ち着いて、もう一度確認よ。そうね……) ルイズはあたりを見渡すと、一つの命令を念じてみる。 すると蟻は机の上から移動しはじめる。床に降り、さらにそこから移動する。そしてルイズの爆発で生まれた机の小さな破片、ルイズの小指のつめほどの破片を持ち上げ、運び出した。 「ちゃんと命令を聞いた……。本当に本当なんだ……。それなら……」 ルイズはもう一度目を閉じると、再度蟻を生み出そうと意識を集中する。 しかし、今度は出てこない。だが、ルイズにはもう少しで出そうという感覚はある。 (もっと魔術審議をしないと、いっぺんに何匹も出すのは無理みたいね) 一匹の蟻を生み出し操る。最強といわれるモッカニアの魔法は勿論そんなものではない。 モッカニア本人であれば、この教室を埋め尽くすほどの蟻を平然と生み出すだろう。 しかも平面的に埋め尽くすのではない。立体的に埋め尽くしてしまう。 それが、モッカニアが閉じられた空間であれば疑いようもなく最強だと言われる所以である。 億を超え、兆という数の蟻を操るモッカニアに対し、一匹の蟻しか操れないルイズ。 比較するのも馬鹿らしいほどの差がそこにはある。 (でも、ちゃんと実力もモッカニアの主に相応しいところまで成長してやるんだからっ) そう改めて決意すると、初めて生み出した蟻を見る。 よたよたと破片を運ぶ蟻。 (まぁ、蟻は蟻よね。片付けの役には立たないわね……) (…………) (もうちょっと……) (あと少しでゴールよ!) 何時の間にか蟻の応援に夢中になっていた。 (でも、あれよね。結局私が何系統なのかはわからなかったわね) 蟻を応援しながらも、ふとそんなことを考えるルイズ。 (魔法権利が使えるから系統魔法は駄目とか、そういうのは却下。系統魔法もちゃんと使えるようになってやるんだからっ!) (両方使えれば最強よ! うん!) (でも、始祖の作った系統魔法じゃない魔法を使うのって……ひょっとして異端になるのかしら) (……あ、もうちょっとでゴールだ!) 「頑張って! もう少しよ!」 思わず声に出して応援してしまった、その時。 「随分時間がかかると思って見に来てみれば……」 ルイズの背後から声がかかった。 「ひゃぁああ! キュルケ!? いつからいたのよあんた!」 ルイズが驚き振り返ると、そこにいたのはキュルケだった。 「あら随分じゃない。あなた。もう昼休みだから、人が心配して見に来てあげたのに。こんなペースじゃ昼休み明けの授業も間に合わないわよ。 いざ見にきたらのんびり蟻さんの応援だなんて。まるっきり子供じゃない。魔法も使えないのに、授業も出ないじゃ今度こそ留年になるわよ」 キュルケの言葉に、ルイズはこの蟻が自分が魔法で生み出したものだと言おうとしたが、先程の異端扱いされるかもしれないという考えを思い出し、とどまった。 「う、うるさいわね! そこにいたら片づけができないから、どっか行きなさい!」 「片付けなんてしてなかったじゃない。『蟻さん頑張れ~』って。……それにしても何この蟻。大きすぎない? 気持ち悪い」 「大きいほうがいいじゃない!」 「何でそんなところに噛み付くのよ。まぁ、大きくて黒いってのは確かにいいことだけど。でも、やっぱり気持ち悪い」 言うとキュルケはブラウスの胸元から杖を取り出し、蟻に向ける。 それを見てルイズは慌てて、 「何する気よ!」 言うとキュルケの腕にしがみついた。 「何をするって、潰すのも気持ち悪いから焼き殺すのよ」 ルイズがどうして蟻に過剰に反応するのか理解できないキュルケは、怪訝な顔をしながらそう言い放った。 「出て行って」 普段の言い争いのときとは違う、低く押し殺した声がルイズの口から発せられた。 そこに強い怒りを感じ取れないほど鈍いキュルケではないが、何がルイズをここまで怒らせているのかわからない。 「蟻一匹でなに怒ってんのよ。こんな蟻を見てるからいつまでも片付かないんじゃない」 「出て行ってって言ってるの!」 今度は怒鳴った。 「…………」 キュルケは何も言わず退散することにした。 後少しでも踏み込めば。いや、後少しでもあの場に留まれば。間違いなくルイズは爆発していただろう。 「訳が解らないわ……」 キュルケがいなくなった教室で、ルイズは一人片づけを続ける。 蟻は魔法を解除すると消えてしまった。 『本』を読んで分かっていたことだが、この魔法は蟻を出している間はずっと魔法を発動させ続ける必要がある。逆に、魔法を発動し続ける限り、屍骸になっても蟻は存在し続ける。 せっかく手に入れたこの魔法権利。より深く知り、より強力なものにする必要がある。 ルイズはそう思いながら右手のひらを見る。 先程噛まれた傷の上にハンカチを巻いておいた。血は止まったようだが、今もずきずきと痛む。 (でもちょっと痛いだけだものね。攻撃魔法としてはぜんぜん役に立たないわ。「イタッ、虫だっ、ぺしっ」で終わっちゃうもの) 結局、黒蟻の魔法が最強なのではなくモッカニアが最強だということだ。モッカニアの桁外れの魔力によってこの魔法を最強足らしめているのだ。 (まだ攻撃魔法にはならないわね。モッカニアは羽蟻を使って偵察とかにも使ってたけど……) (攻撃手段としてこの魔法を使おうと思ったら……) (10匹? いや、もっと?) (そう簡単に振り落とせないような数……) (何匹も……一斉……に……) 急にルイズはしゃがみ込む。 そして手で口を押さえ苦しそうな表情を浮かべた。 吐き気がこみ上げ、喉元まで来ているのを、必死に押し戻そうとしているのだ。 暫くの間そうしていたが、やがて吐き気はおさまったのか、真っ青な顔で深呼吸をしている。 ルイズの思考が呼び水となり、今朝の夢を思い出してしまったのだ。 モッカニアの死。 自身の魔法を用いた自殺。 ルイズは疲れた顔で床に座り、己の右手を見る。まだずきずきと痛むその右手。 モッカニアには違う結末を選ぶだけの力はあった。だがそれを良しとしなかった。 違う結末を選ぶために力を振るうことを良しとしなかった。 力を持ち、強くなればできることが増える。選べる選択肢が増える。力のないもの、弱い者に多くの選択肢は与えられない。 強い者に多くの選択肢があるのは、弱いものから選択肢を奪うからだ。 モッカニアは善良だった。 「私は……」 ルイズは呟く。 「それでも私は……力が欲しいわ」 前ページ次ページ虚無の魔術師と黒蟻の使い魔
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/475.html
前ページ次ページ斬魔の使い魔 何処かの次元の何処かの宇宙。 そこで二体の巨人、デモンベインとリベル・レギスが血闘を繰り広げていた。 滅びを撒きながらの闘いは、果たしてリベル・レギスの勝利に終わった。 コックピットを抉られ、瀕死の重症を負ったデモンベインの術者、大十字九郎。 「……く、九郎」 彼の名を呼ぶのは魔導書にしてパートナーたる少女、アル・アジフ。 彼女もまた重傷を負い、その構成を維持できなくなっていた。 身体から魔導書のページが滲み出ている。 「アル……くそっ……!」 白い輝きが宇宙を照らす。 モニターの向こうで、リベル・レギスが左手を白く輝かせていた。 絶対零度の極々々々低温の手刀、ハイパーボリア・ゼロドライブ。 滅びの白い輝きが迫ってくる。 もはやどうにもならない。 九郎とアルの魂が絶望感で塗り潰されていく。 そのため、二人は気がつかなかった。 眼が焼け付くほどの輝きの中、現れた鏡の存在に。 それはいかなる奇跡なのか。 この日、無貌の邪神が生み出した無限螺旋の宇宙から、魔を断つ剣は消え去った。 「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ! 神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、通称ゼロのルイズは叫んだ。 この召喚を成功させる。そして、自分を馬鹿にしていた連中を見返すのだ、という思いを込めて。 その瞬間、上空に巨大な魔法陣が出現した。 半分、揶揄を込めて見ていたギャラリーが、様子を見守っていた教師が、そして当のルイズが驚愕した。 通常、「サモン・サーヴァント」でここまで大規模な現象が起きることはない。 さらに彼らを驚かせたのは、そこから現れたマントのような翼を広げた巨人。 その圧倒的な存在に、ただただ放心していた中、一足早く正気に戻ったルイズは心の中でガッツポーズをした。 (やった……こんな凄いゴーレムを召喚できるメイジなんて他にいるはずが無いわ! 私はやったのよ!) だが、そのルイズの喜びは一瞬で消え去った。 眩い光と共に、巨人が一瞬で消滅したのだ。 巨大な魔法陣も消え、まるで何事も無かったかのような静寂が訪れた。 何が起こったのか理解できず放心状態のルイズ。 ――と。 上空を見上げていた生徒達の背後で爆発が起こった。 慌てて振り向く一同。 同時に―― 「わきゃっ!」 上空から落ちてきた何かに押しつぶされたルイズ。 それは少女の姿をしていたが、ぶつかった衝撃でバラバラの本のページになった。 それは、ルイズと同化するようにその身体に溶けていく。 最初にルイズの様子に気付いたのはキュルケだった。 もっとも、ぶつかった瞬間を見ていない彼女の目には、ただ爆発に驚いて転んだようにしか見えなかった。 「ちょっとちょっと、何をやっているのよ、ルイズ」 「う、うるさいわね! 何かが頭にぶつかったのよ!」 はいはいと笑いながら手を差し伸べる。 その手を払って自分で起き上がるルイズ。 その様子を見て苦笑するキュルケ。 「ところで、あの人間、貴方が召喚したんじゃないの?」 え? と驚いて顔を向ける。 そこには、逆さまに倒れて目を回している見知らぬ男の姿があった。 「……へ?」 フラフラとした足取りで男に近づくルイズ。 傍で男の様子を観ていた教師のコルベールは、ふむ、と呟くとルイズに振り向いた。 「どうやら彼が召喚された使い魔のようですな」 「……えっ!? じ、じゃあ、さっきのゴーレムは!?」 「皆目見当がつきませんが、ひょっとしたら彼と何か関わりがあるのかもしれませんな」 未だに目を回している男に顔を向けるコルベール。 ルイズもまじまじと顔を見る。 (じ、冗談じゃないわよ! こんな、情けない顔をした平民を召喚したですって!? これじゃあ、またゼロのルイズって 馬鹿にされるじゃない! こんな! こんな――) ジッと見つめながら心の中で罵倒を繰り返すルイズだったが、見つめている内に、ふと理由の判らない心の 痛みに襲われた。 思わず俯く。 その瞳から涙が零れ落ちた。 (何……これ?) 訳が分からない痛み。 そして、こうすれば痛みが消えると云わんばかりに男に顔近づける。 契約の呪文を唱える。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与 え、我の使い魔と為せ」 そして唇が触れ合う。 瞬間、 「ぐあぁぁっ!」 男がのた打ち回る。 左腕が放電している。魔力の放電だ。 異常に気付いたコルベールが、ルイズを下がらせる。 男の左手の甲に紋章が浮き出て、前腕部分にルーンが刻まれる。 しばらくしてルーンが刻まれ終えると魔力の放電も消え、男も落ち着きを取り戻した。 「ふむ、珍しい形のルーンだな。甲に刻まれている紋様も初めて見る。さっそく調べなければならないな」 男は気絶したままだが、呼吸は安定している。 まるで冬眠をしているかのように静かに眠っている。 一方、ルイズの胸の痛みも消えていた。 訳が分からないが、とりあえず「コントラクト・サーヴァント」に成功したことは確かなようだ。 「では、皆さん、教室に戻りますぞ」 巨大ゴーレムのショックがまだ消えていないのか、いつもなら騒がしい生徒達も大人しく「フライ」の魔法で飛んでいく。 コルベールは途中で止まり、 「ミス・ヴァリエール。後で人を寄越します。しばらく新しい使い間の傍にいてやりなさい」 ルイズは答えなかったが、沈黙を肯定と見たコルベールはそのまま飛び去った。 残されたルイズは、ジッと使い魔を見つめていた。 その晩、学院を巨大な魔力が覆った。 魔力が消滅した後、謎のゴーレムのことを覚えている者は誰もいなかった…… 前ページ次ページ斬魔の使い魔
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2431.html
コルベールが中庭で戦っている頃、食堂でも戦いが繰り広げられていた。 不覚にも銃士達は、斬りつけても怯まない、突き刺しても死なない、得体の知れぬメイジを相手にして、混乱の一歩手前だった。 ゾンビを相手したことなど、あるはずが無いのだ、仕方がないのかもしれない。 既に二人の銃士が、ゾンビメイジの捨て身の攻撃で銃士がやられ、床に倒れている。 腹や手足に受けた傷からは、血が流れ続けている…このままでは死んでしまう。 「おああああッ!」 アニエスは、渾身の力を込めて、ゾンビメイジの腕を切り払った。 が、相手も手練らしく、『ブレイド』の魔法を纏った杖でいなされてしまう。 手強い…!アニエスがそう思った瞬間、頭上から六人がけのテーブルが落下してきた。オスマンが投げ落としたのだ。 メイジは咄嗟にそれを避けたが、床が濡れていたために足を滑らせ、一瞬の隙が出来た。 「うおおおあああっ!!」 アニエスは渾身の力を込めて切り払い、メイジの杖をはじき飛ばした、そのまま腰溜めに剣を構え、心臓目がけて突き立てる。 「くっ!」 ドコッ!と鈍い音を立てて、メイジの体を剣が貫く。剣は胸板を貫き骨ごと心臓を貫いた、しかし、剣が抜けない。 そこにもう一人のメイジが、アニエスに向けてマジックアローを放った。 アニエスは剣を捨て、後ろに転がってマジックアローをかわしていく、一発目、二発目、三発目……このままでは回避しきれない。 タバサにもそれを防ぐ手段は無かった、もう一人のメイジは、タバサの魔法で全身を貫かれ、首を半分まで切り裂いたというのに、傷口が瞬く間に塞がってしまう。 この場にキュルケが居てくれれば…! タバサはそう考えて、すぐにそれを否定した。 今まで、ずっと困難な任務を受け続けてたタバサは、他人に頼ることを良しとしない。 巻き添えを作らないために、迷惑をかけないために、タバサは一人で戦い続けてきた。 けが人であるキュルケの復帰を期待するなど、あってはならないことだ…そう思い直して奥歯を強く噛みしめた。 「ラグー・ウォータル…!」 タバサは、氷の壁でメイジの動きを封じるべく、詠唱を開始する。 しかし途中で、空気が異常に乾いていることに気が付く。 原因は、氷の矢の使いすぎだった、空気中の水蒸気を使いすぎてしまったのだ、床に零れた水や氷では、すぐに魔法に利用することはできない。 このままでは相手の動きを封じるどころか、必殺の『ウインディ・アイシクル』も使えない。 六回目! アニエスがテーブルを盾にして、六発目の『マジック・アロー』をやり過ごした頃、胸から剣を生やしたメイジが、落ちた杖を手にしていた。 メイジがアニエスに杖を向け、詠唱を開始する…アニエスは鳥肌を立てた、回避しきれない。 「あ」 奇妙な光景だ…アニエスは頭のどこかでそう考えていた。 メイジの放ったマジック・アローが、ヤケに緩慢な動きで自分へと飛んでくるのだ。 マジック・アローだけでなく、自分の体さえもゆっくりと動いている。 避け、られない。 ジュバッ!と音を立てて、マジック・アローが炎に包まれる。 炎の弾が、アニエスに届くはずだったマジック・アローを消滅させたのだ。 矢次に飛ばされる火の玉は、杖を構えていたメイジの腕に当たり腕を焼き尽くす、すると腕がぼろりと崩れ落ち、剣状の杖が床に落ちた。 「グア…」 見ると、キュルケが杖を構えて、食堂の入り口に立っていた。 キュルケはタバサと相対していたメイジにも炎の弾を飛ばし、タバサを後ろに下がらせる。 「遅れてご免なさい」 そう言って、キュルケがタバサの肩に手を乗せる。 「怪我は」とタバサが聞くと、キュルケはウインクをして答えた。 「私は平気よ、シエスタとモンモランシーが怪我人を治して、すぐにこっちに来るわ。…さっきは情けないところを見せたけど、この”微熱”だって負けていられないのよ」 キュルケはタバサの前に出ると、メイジに向けて杖を向ける。 燃えさかる炎の中で、そのメイジは、にやりと笑みを見せた。 「来なさい、化け物」 ◆◆◆◆◆◆ 「んんぅーっ!」 連れ去られた生徒が、傭兵メイジの腕の中でもがく、口には即席の猿ぐつわを噛まされていて声が出せない。 「くそガキ!じたばたするな!この高さから落ちたい訳じゃあないだろう」 生徒は、自分を抱えているメイジにそう忠告され、下を見た。 メンヌヴィルに先に脱出しろと指示された二人のメイジは、『フライ』を詠唱して空を飛んでいる、下は草原だが30メイル以上の高さがあった。 生徒は息をのみ、黙った。 「ジョヴァンニ、船はまだ見えないのか」 生徒を抱えていたメイジ…ギースがそう呟くと、ジョヴァンニと呼ばれた男は、林の奥を指さした。 「見えたぞギース、あれだ」 林の奥には、黒塗りのフリゲート艦が碇を降ろし、超低空で停泊していた。 ハルケギニアでは、フリゲートという呼称は小型高速の軍艦に用いられるのだが、この船は余計な装備を廃した特別製のもので、軍艦としては格別に小さい。 『ライン』以上のメイジであれば十分に浮かせることが出来る…という訳で、もっぱら特殊条件下での人員高速輸送に使われていた。 本塔を占拠した時、傭兵メイジが出した合図は、フリゲート艦を魔法学院に近い林の中へ下ろす合図だった。 十人ほど人質を取り、船で逃げる手はずだったが、手痛い反撃に遭い生徒を一人抱えるのがやっとだった。 しかし、今回の仕事は『誘拐』ではないので、人質をいつまでも連れて逃げるわけではない、彼らの目的は別にあったのだ。 二人は船に乗り込むと、中で待機しているはずのメイジを探した。 この船で帰還することはできない、せいぜい目立つところを飛んで貰って、トリステインの哨戒の目を引きつけて貰うしかない…。 「おい!船を出せ!仕事は果たしたぞ!注文通り『トリステインの逆鱗に触れてやった』ぞ!」 ジョヴァンニが叫びながら、船室の扉を開けていく、だがメイジの姿は見えない。 貨物室に入って中を見渡す…しかし、誰も居ない。 「おい!何処へ行った!…くそ、なんてこった、あの気味の悪いヤロウ、逃げやがったか」 そう悪態を付くと、ギースが人質を抱えて中に入ってくる。 抱えていた人質を貨物室へ放り込むと、その足に杖を向け短くルーンを唱える、鉄の足かせを『練金』したのだ。 「よし…恨むなよ嬢ちゃん」 「んむーーっ!」 生徒は、身をよじらせて何とか動こうとするが、足かせが重くて自由に動けない、その上腕までも封じられていては、為す術が無かった。 「おい、どうするんだ」 事を見守っていたもうジョヴァンニが、焦りを隠さずに聞く。 「予備に風石があったはずだ、そいつで船を浮かせる。どうせ二時間しか浮けないだろうが十分だ、風任せで動けば囮にはなる」 「このガキはどうする」 「風石が尽きれば、船ごと落ちて死ぬだろうが、万が一救出されたら厄介だ…そうだ、船室を燃やしておけばいい、二時間ばかりこの船が囮にないいんだからな」 「よし、それでいこう」ジョヴァンニが頷いた。 ギースは、貨物室から外に出ると、後部甲板下の船室に入った。 ランプを二つ手に取ると、床に投げ捨てる。 二つのランプはガラス片と油を飛び散らせて散らばった。 杖を振り、油に『着火』すると、燃焼時間を調節するため扉を閉じる。 すぐさま甲板に戻り、ジョヴァンニの姿を探す…甲板には居ない。 碇を上げる余裕はない。碇の根本にあるフックを魔法で外すと、ジャラジャラジャラと鎖が落ちる音が聞こえ、がくんと船が揺れた。 船は静かに上昇を始める…… 「ジョヴァンニ!行くぞ!」 船が浮き始めれば、あとは逃げるだけだ。ギースは姿の見えぬ よく見ると、人質を閉じこめた船室が開いていた。 「あいつめ…また悪い癖か」 ジョヴァンニという男は、メンヌヴィル率いる傭兵団の中でも古株だが、悪い癖を持っている。 メンヌヴィルが人間の…いや、生き物の焼ける臭いが好きでたまらないように、ジョヴァンニは女を陵辱したくてたまらぬといった口だ。 一刻も早く逃げなければならないのに、こんな時まで悪い癖が出たのか…そう考えてギースは声を荒げた。 「おい!ジョヴァンニ、早くしろ」 船室の中では、ジョヴァンニが人質の上着を引きちぎっていた。生徒は胸を露出させ、恐怖のあまり震えている。 「まあ待てよ、男を知らないうちに死ぬなんて可哀想じゃないか」 そう言って下卑た笑みを見せる、が、そんなことをしている余裕は無い。 「時間はない。先に行くぞ」 「…ちっ。まあいいさ。餞別に膜だけは破ってやるよ」 ジョヴァンニは、太さ2サント長さ30サントほどの、鉄で出来た杖を持っている。 それを生徒の眼前にちらつかせ、パジャマのズボンに手を伸ばした。 「んむっ!んむううー!」 自由を奪われた体でありながら、必死で逃げようとする生徒。 それを見てジョヴァンニは舌なめずりをした。 「反吐が出るわ」 と、突然、どこからか女の声が聞こえた。 ジョヴァンニは咄嗟に、誰だ!と叫んだが、その声は床がぶち破れる音でかき消された。 床を破ったのは、銀色に輝く二本の剣であった、それは一瞬で円を描き、床に穴を開けた。 と次の瞬間には糸のようにバラけ、ジョヴァンニの足を掴む。 「うわ、うわああ!」ギースが叫んだ。 奈落の底、と表現すべきだろうか。直径わずか20サントの穴に、ジョヴァンニの体が引きずり込まれていく。 ベキベキベキと不快な音を立てて…それは床板の音か骨の音か、どう考えても後者しか思いつかなかった。 ほんの数秒で、ジョヴァンニの体は消えてしまった。 当たりに飛び散る血飛沫を残して。 「………」 人質となっていた生徒は、その異常な光景に驚く暇もなかった、何が起こったのかを理解することが出来ず気絶したのだ。 「う、うわ、わあああああああああああああああああッ!?」 今度は、ジョヴァンニが叫ぶ番だった、そして、なりふり構わずに逃げた。 一歩、二歩、三…! 三歩目を踏み出したとき、左足の動きが止まった…いや、留められた。 振り向くと、銀色の糸が何本もブーツに絡みつき、まるで大蛇のような力で足を締め付けていた。 「うわっ!ああ、ああわああああ!」 慌てながらも、何とか『ブレイド』を詠唱し杖を刃にした。糸を切断しようと足掻くが、糸は鋼のように硬い上、切っても切っても再生し、足へと絡みつく。 そうこうしているうちに糸は太く絡まり、荒縄のように…そして蛇のように足を登ろうとした。 「ちくしょおおおおっ!」 ギースは雄叫びを上げて、自分の足を切断した。 千分の一秒だけ躊躇したが、それ以上はジョヴァンニと同じ最期を辿ることになる、決断は早かった。 すぐさま、『フライ』を詠唱しようと、したが、糸はもう片方の足へと絡みついていた、中を浮いた体が、ぐいぐいと船室へと引きずり込まれようとしている。 「嫌だ!嫌だ!助けて!助けて!」 「往生際が悪いわよ」 船室の中に引きずり込まれると…そこには、暗くて良くわからないが、女の形をした『何か』が居た。 その『何か』は、背中に長剣を背負い、腕から銀色の糸を生やしていた。 着ている服は血に塗れ、所々を切り裂かれたローブは、もはや服としての機能を成していない。 「ひっ…」 「聞きたいことがあるわ…貴方の依頼主についてね」 「ひっ、ひっ、ひ…」 ギースの頭が急速に冷めていく。 目の前の『何か』は、化け物のような力を持っていても、見た目は『女』だった。 こいつは女だ!どんな化け物であっても、女に違いない!そう自分に言い聞かせて、気を落ち着かせる。 「な、なななななんでもしゃしゃしゃ喋る、だかかかから助けてててててくへ!」 「そう、じゃあ場所を移しましょう?ここじゃあ目立つわ…」 ギースは、必死で声を震わせた、恐怖で震わせるのではなく、詠唱を誤魔化すために声を震わせた。 「(ウル)わわわか(カーノ)った!(ジエー…)ひ、は、おれは(……)」 ぴくりと女の眉が上がる、詠唱に気づかれた?だが俺の方が早い! 「うおおおおおっ!」 杖の先端から、ありったけの精神力を込めた炎が迸る。 炎は、自分の足をも焦がしてしまうだろうが、そんなことはどうでもいい。 とにかく今は逃げるために、生き延びるために、こいつを焼き殺さなければならない。 「うおああああああ!」 叫んだ、そして、力を振り絞った。 だが、その悪あがきは、女が背負っていた長剣によって切り裂かれた。 ごぉうという風の巻き上がる音を立てて、炎が消える。 女は長剣を…片刃の長剣を、ギースの顔に突きつけていた。 「…ひどい炎ね、人質も一緒に焼く気?」 その言葉と共に、剣が首へと差し込まれ…ギースの首は胴体と永遠の別れを告げた。 女は…、いや、ルイズはデルフリンガーを手にしたまま、人質となっていた生徒を抱きかかえる。 そして甲板の縁に立ち、高さを知るために下を見下ろした。 「まずいわね、私、レビテーションも使えないのに…」 すでに高度は百メイルに近い、自分が飛び降りる分には問題ないが、生徒を無事に下ろすことはできない。 ルイズは、後ろめたさからデルフリンガーに話しかけるのを躊躇ったが、生徒の命を助けるためには仕方ないと自分に言い聞かせ、静かに話しかけた。 「…デルフ。私の杖は確か『風のタクト』って言うんでしょう?これを使えば平民でも空を飛べるって言ったわよね、使い方を知らない?」 デルフリンガーは拍子抜けするほどいつもの調子で、かちゃかちゃと鍔を鳴らして答える。 『あー、どうっだったかなー。えーと…そうそう、イミテーションの宝石を回すんだ』 「イミテーション?……ああ、これ」 ルイズはデルフリンガーを口にくわえ、杖のグリップに埋め込まれている宝石を回した。 すると体が軽くなり、ふわり…と浮き始める。 ルイズは宝石を元に戻すと、甲板から地面に向かって飛び降りた。 空中で一度、二度と杖の中に仕込まれている『風石』を発動させ、落下速度を殺していく。 数秒後、どすん、と音を立てて地面に着地した。 衝撃はそれほど強くない…人質となっていた生徒も大丈夫だろう。 ルイズは生徒を適当なところに寝かせ、足かせを引きちぎった。 ちらりと脇を見ると……フリゲート艦で待機していたゾンビメイジの『残骸』が目に入る。 アンドバリの指輪の力でも再生できぬよう、三十六分割されたそれは、文字通りの残骸であった。 目が覚めたときこれを見つけたら、また気絶してしまうだろう…そう考えて、ルイズはクスッと笑みを漏らした。 「!…近づいてくるわね」 遠くから聞こえてきた音に、ルイズは敏感に反応する。 耳を地面に当てると、馬の蹄の音と、人の足音が聞こえてくる…間もなくこの生徒も発見されるだろう。 ルイズはデルフリンガーを鞘に収めると、木々の間をすり抜けて、その場から離れていった。 ◆◆◆◆◆◆ 「厄介ね!」 キュルケはそう叫びながら、宙に浮いた炎の弾を操り、ゾンビメイジの『マジック・アロー』を相殺していく。 シエスタから『波紋』を注ぎ込まれたキュルケは、一時的に精神が研ぎ澄まされているが、それでもコルベールの技を真似することは出来なかった。 コルベールが巨大な蛇状の炎を操るのに比べ、キュルケは直径50サント程の火球を一個操るのがやっと。 アニエスと戦っていたメイジが、炎で焼かれた腕を再生できないことから、ゾンビの弱点が炎であることは理解できた。 水系統の力で動いている以上、水分が必要だと証明されたのだが、それはかえってアンドバリの指輪が持つ人知を超えた力を見せつけているようでもあった。 「ほんとに!厄介、ねっ!」 キュルケの相手は、風系統の高位のメイジらしい、風の障壁を貼りつつ『マジック・アロー』を飛ばしてくるのだ。 キュルケの炎では障壁を越えにくい、超えたとしても、多少の炎ではゾンビを行動不能にできない。 タバサは、オールド・オスマンを連れて待避している。 オスマンの波紋は、リサリサの直系であるシエスタに比べて、はるかに弱い。 メイジの足止めをしたのが一回、ロフトの教師用テーブルを投げ落とす際に肉体を強化したのが二回……それだけでオスマンの呼吸は乱れ始めていた。 そのため、タバサに頼んでオスマンと怪我人を下がらせたのだが…アニエスとキュルケだけでゾンビを相手するのは辛い。 キュルケが攻めあぐねている時、アニエスは激しい鍔迫り合いを繰り広げていた。 ゾンビは杖を燃やされたので、胸に突き刺さっている剣を引き抜いて使っている。 …アニエスの旗色が悪い。 「く!……なんて馬鹿力だっ」 吸血鬼ほどデタラメではないが、ゾンビは人間が備えているリミッターの外れた状態で戦っている。如何に歴戦のアニエスでも限界がある。 「アニエスさん!」 と、背後から誰かが叫んだ。 アニエスはその声が誰なのか解らなかった、ゾンビの剣に絡まったツタを見て…そしてツタに流れる『ライトニング・クラウド』のような閃光を見て、それが『魔法とは違う何か』だと直感的に理解した。 「山 吹 色 の 波 紋 疾 走 !」 シエスタが放った波紋は、剣を握る手に麻痺を起こさせた、その隙にアニエスがゾンビの体を蹴って距離を取る。 ゾンビは、剣を落とし…ふらり、ふらりとした足で少しずつ後ろに下がっていった。 「アニエスさん、大丈夫ですか!」 「礼は言う!だが非戦闘員は下がっていろ!」 「そういうわけには行きません!」 シエスタは半身に構えて両腕を前に出し、腕に絡めたツタを垂らす。 アニエスは何か言おうとしたが…そんな余裕がないと気付き、無言で剣を構えなおした。 だが、ゾンビは襲いかかってくる気配もない。 それどころか、自分の手を見て、周囲を見渡して……まるで迷子の子供のような顔をしてあたりを見回している。 「…様子が変だ」 アニエスが呟いた、その時。 「う、うおおおおおおっ!」 ゾンビが、キュルケが相手しているゾンビに向かって体当たりをした。 ごろん、と床に倒れ込むと、もがくゾンビを取り押さえて、叫ぶ。 「燃やせーっ!早く!俺ごと、やれーっ!」 キュルケはその言葉に、一瞬だけ躊躇いを見せた。 だが、それは本塔に一瞬のこと…杖を二人のゾンビに向かって振り下ろす。 ごうごうと音を立てて二人のゾンビが燃えていく、あたりに焦げ臭い、人間の焼ける嫌な臭いが立ちこめていく……しかし、誰もその場から離れようとしなかった。 皆、じっと燃えていく様子を見つめていた。 しばらくすると、炎が消えて、黒こげになったゾンビ二体が床に残る。 「…………」 もう、どちらがどっちなのか判別できないが、片方のゾンビが声にならぬ声を呟いていた。 皆、自然と耳を澄まし、その言葉を聞いた。 「と りす て いん の とも よ しょう き に も どし て くれた あ り が と……」 その言葉を聞いて…キュルケとは、床に膝をついた。 アニエスは祈るように両手を重ね、握りしめる。 シエスタは、水の精霊に会い、リサリサの記憶の一部を受け継いだことを思い出していた。 曖昧な記憶なので、はっきりと思い出すことは出来なかったが、正気を取り戻したゾンビを見て、ある一つの記憶が鮮明になった。 曰く『波紋は精霊に干渉できる』 ◆◆◆◆◆◆ 人質となっていた少女が衛兵に発見され、魔法学院に運ばれたのを確認してから、ルイズはトリスタニアへと足を向けた。 兵士達の会話の中から、魔法学院に潜んでいた賊が殲滅されたことを知ったので、もはや自分の用は無いと判断したのだ。 ルイズは、いつものように街道を避け、街道沿いの林の中を歩いていた。 「ねえ、デルフ」 『ん?』 デルフがいつものように背中から返事をする。その声はいつもと変わらなくて…変わらなすぎて、かえってルイズを不安にさせた。 「あなた、心を読めるんでしょう」 『前にも言ったけど、多少ならなあ』 「私の心、読んだ?」 『………あー、もしかして、見ず知らずの親子を殺したのを気にしてるのか?』 ルイズが、足を止めた。 背中の鞘からデルフリンガーを引き抜き、銀色に輝く刀身を見つめる。 「…軽蔑した?」 『いんや、別に』 驚くほど軽く、デルフリンガーが呟く。 それでは納得できないのか、ルイズはその場に座り込んで、足下にデルフリンガーを突き刺した。 「どうしてよ、だって、貴方は、武器屋で見つけたとき、私をずいぶん嫌ってたじゃない」 『いや、そうだけどさあ……』 デルフリンガーは言いにくそうに、鍔をカチャカチャと数度鳴らして…ぽつぽつと語り出した。 『俺っちは剣だ。悪いものばかりじゃなくて、いろんな奴に使われて人間も沢山切ってきた。おれは誰に使われるかを選べねー。 でもよう、嬢ちゃんはずっと後悔しっぱなしじゃねーか。俺っちは元から剣として生まれたから、自分じゃ戦うのは嫌だなーと思ってるけど、人を切るのに抵抗もないんだわ。 嬢ちゃんはずっと我慢してるじゃねーか。できるだけ相手を選んで殺してるし、希に我慢できなくなるのも仕方ねーと思うよ。 それに俺、嬢ちゃんはもっと食欲に流されると思ってたんだぜ。でも人間を襲わないようにすげー努力してるのは解る。 親子のことは可愛そうだと思うけどよ、貴族の横暴で似たような死に方してるヤツなんて、数え切れないほど見てきたぜ。 俺はよ、後悔し続けるそんな嬢ちゃんを嫌いになれねえ』 ほんの数分、沈黙が流れた。 ルイズは、そっとデルフリンガーを引き抜くと、その刀身を優しく抱きしめる。 「あんたが、人間だったら良かったのに」 『よせやい』 空を見上げる……月は雲に隠れているが、所々から綺麗な光線が漏れていた。 「この戦争を、終わらせましょう」 誰に言うでもなく…いや、自分に言い聞かせるように呟く。 月を見上げたルイズは、憑き物が落ちたように、穏やかな微笑みを浮かべていた。 To Be Continued→ 70後半< 目次 >72
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8321.html
ギルガメッシュ召喚 タバサの任務につきあってミノタウロスを両断 ギルガメッシュ「弱い!俺の世界で聞いたミノタウロスってのはこんなもんじゃなかったぜ!」 タバサ「…スクウェアメイジのミノタウロスより強い…?どんなの?」 ギルガメッシュ「そうだな、俺の聞いた話じゃあ… 力の塔ってとこにいる最強の聖なる魔法ホーリーの番人で! 魔法禁止といっておきながらやばくなるとそのホーリーを持ち出そうとし、 しかも脳筋野郎なせいかMP不足で唱えることができない結局通常攻撃オンリーな芸の無い野郎 それを隠すためにあらかじめ戦場にミュートをかけておくという反則技は俺も大いに見習いたいところだ ついでにご自慢の腕力はすべてをしるものとか言うリターン厨な魔法使いのボケジジイに完敗しているという…」 タバサ「………」 ギルガメッシュ「…いや、でもコイツよりは強いはずだ、多分」
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4861.html
長編(ページ数順01~04P) ※総ページ数をカウント(例:第○話が前後編なら2ページ分、外伝や幕間も加算) 長編(話数順05P~14P)へ 長編(話数順15P~)へ 01~04P 01~04P 作品タイトル 元ネタ 召喚されたキャラ 更新日時 ラスト・レイヴン×ゼロ ARMORED CORE LAST RAVEN ジナイーダ 2009-10-11 15 58 32 (Sun) ゼロのあやかし ~使い魔の名は愁厳~ あやかしびと 一乃谷愁厳 2009-10-11 16 45 22 (Sun) ルイズと再生の魔法使い アリアンロッドリプレイ・ルージュ トラン=セプター 2009-10-11 16 56 31 (Sun) 零の謳姫 アルトネリコ2 世界に響く少女たちの創造詩 ジャクリ 2009-10-11 17 11 51 (Sun) 『虚無と金剛石~ゼロとダイアモンド~』 ウィザードリィ アラビク王子 2009-10-11 17 42 40 (Sun) Wizardry Scenario 4.0 ウィザードリィ ワードナ 2009-10-11 17 49 37 (Sun) ZEROのスペシャリスト 宇宙英雄ローダンシリーズ USOスペシャリスト レミー・デンジャー 2008-12-20 10 13 34 (Sat) ゼロの妖精 エースコンバットZERO ピクシー 2009-10-15 22 35 39 (Thu) ACECOMBAT ZEROの使い魔 エースコンバットZERO ラリー 2009-10-15 22 36 47 (Thu) エースコンバット・ゼロの使い魔 ACE COMBAT ZERO THE BELKAN WAR ラリー・フォルク 2009-04-21 22 34 32 (Tue) 聖剣と、ルイズ ACE COMBAT ZERO THE BELKAN WAR エクスキャリバー 2009-10-15 22 41 08 (Thu) 8マン・ゼロ 8マン・インフィニティ 東光一 ダイ 2009-10-15 23 02 49 (Thu) Xero Files シリーズファイナル X-File モルダー 2009-10-15 23 18 41 (Thu) TMR MMR キバヤシ 2009-10-18 00 12 26 (Sun) Deep River エルフェンリート 28番 2017-03-27 20 42 17 (Mon) エンジェリック・ゼロ エンジェリック・セレナーデ ラスティ=ファースン 2009-10-18 00 28 49 (Sun) ゼロと雪姫 オーバーマン キングゲイナー アナ・メダイユとリンク・リンス・リンナ 2009-10-18 01 07 24 (Sun) ゼロの使い魔-闇の七人 OBLIVION 闇の一党 2009-10-02 23 59 01 (Fri) ドラゴンナイト・ゼロ 駈斗戦士仮面ライダーズ 超変身ギャグ外伝 サバイブ龍騎 2010-02-18 13 40 53 (Thu) ルイズ風水回廊記 カオスシード 飛天石 2009-10-19 21 07 22 (Mon) ゼロのヒットマン 家庭教師ヒットマンREBORN! 獄寺隼人 2009-10-19 21 18 05 (Mon) ゼロの使い魔外伝‐災いのタバサ‐ 平成版「ガメラ」 ギャオス 2010-12-02 21 08 08 (Thu) 仮面のツカイマガイ 仮面のメイドガイ メイドガイ・コガラシ 2009-10-19 21 41 59 (Mon) ゼロの使い魔 対 ショッカー 仮面ライダー 死神博士 2009-10-19 21 49 25 (Mon) 2000の技を持つ使い魔 仮面ライダークウガ 五代雄介 2009-10-21 20 41 43 (Wed) 出来損ないの魔術師と改造人間 小説版仮面ライダー 誕生1971 ハヤト 2020-08-13 22 23 54 (Thu) 『使い魔な電王 異世界で俺、誕生!』 仮面ライダー電王 野上良太郎とご一行 2009-10-27 22 31 02 (Tue) Alive a ZERO 仮面ライダー龍騎 カードデッキ 2007-12-03 01 17 19 (Mon) からくりサーカス・ゼロ からくりサーカス ギイ・クリストフ・レッシュ 2009-10-03 20 09 38 (Sat) 蒼狼の使い魔 GUNGRAVE OD 九頭文治 2009-10-27 23 31 27 (Tue) ZERO×SWORD GUN×SWORD ヴァン 2009-11-03 00 19 23 (Tue) ゼロのワタマン ガンパレードマーチ 岩田裕 2009-11-03 00 16 21 (Tue) 青にして灰白の使い魔 ガンパレードマーチ 岩田裕 2009-11-03 00 15 29 (Tue) Servent 507 劇場版ガンヘッド 2009-11-03 00 13 15 (Tue) 大十字九郎サーガ 機神咆哮デモンベイン 大十字九郎 2009-11-03 00 09 11 (Tue) ドクターウェストの華麗なる実験 機神咆哮デモンベイン ドクター・ウェスト 2009-01-01 17 31 54 (Thu) 虚無の少女と蒼穹の少年 機動戦士ガンダム00 刹那・F・セイエイ 2008-12-03 00 21 56 (Wed) 不敗の使い魔 機動武闘伝Gガンダム 東方不敗・マスターアジア 2007-10-06 09 16 35 (Sat) 召喚!変態仮面! 究極!!変態仮面 色丞 狂介 2009-10-03 20 12 44 (Sat) ゼロのカンプフグルッペ 急降下爆撃機 ルーデル大佐 ガーデルマン曹長 2010-04-03 17 37 31 (Sat) 規格外品0号 強殖装甲ガイバー 0号ガイバー 2008-03-08 15 38 12 (Sat) ルイズの恐竜惑星 恐竜惑星 ラプター 2008-04-06 06 12 19 (Sun) GUILTY GEAR XO GUILTY GEAR X ディズィー 2008-07-02 10 45 13 (Wed) ゼロの旋風 銀河旋風ブライガー ブラスターキッド(木戸丈太郎) 2008-07-12 10 34 49 (Sat) サーヴァント・オブ・ゼロ クイーンズ・ブレイド 「冥土へ誘うもの」アイリ 2008-07-27 20 52 05 (Sun) 虚無の誇り CRISIS CORE -FINAL FANTASY VII- ザックス 2008-04-14 06 23 31 (Mon) モニカがルイズに召喚されました グローランサー3 モニカ・アレン 2008-03-12 08 03 06 (Wed) 鉄《くろがね》の使い魔 鉄のラインバレル 早瀬 浩一 2007-11-24 21 08 16 (Sat) ゼロ執事 黒執事 セバスチャン 2009-04-29 10 33 05 (Wed) クロノサーバント・ゼロ(魔王編) クロノ・トリガー 魔王 2009-10-03 20 43 06 (Sat) 使い魔は剣士カエル クロノ・トリガー カエル 2009-10-03 20 48 41 (Sat) 虚無と鬼 クロノベルト 九鬼耀綱 2009-04-08 07 10 29 (Wed) ZERO BOY’Sサーヴァントセレクション CAGE BOY’Sヒロインセレクション 志木秋巳・橘ゆず 2008-12-22 22 30 23 (Mon) ゲゲゲの使い魔 ゲゲゲの鬼太郎 墓場鬼太郎 2009-01-16 10 10 15 (Fri) ゼロロ使い魔 ケロロ軍曹 ケロロ小隊 2008-03-09 07 48 51 (Sun) 幻想水滸伝異伝 零の一〇八星 幻想水滸伝Ⅳ ラズロ 2007-12-28 00 03 30 (Fri) 不滅の使い魔 轟轟戦隊ボウケンジャー 明石暁 2007-08-15 11 24 23 (Wed) AI使い魔タチコマンズ+α 攻殻機動隊SAC タチコマ 2008-09-16 21 10 18 (Tue) ゼロの剣虎兵 皇国の守護者 新城直衛+千早 2007-10-21 01 26 29 (Sun) 使い魔エイト 護衛神エイト エイト 2008-12-20 08 56 04 (Sat) こちらガリア王国プチ・トロワ内北花壇警護騎士団屯所 こちら葛飾区亀有公園前派出所 両津勘吉 2009-10-03 20 55 57 (Sat) ゼロの雷帝 金色のガッシュ・ベル ゼオン・ベル 2011-04-04 14 52 22 (Mon) 化け猫の使い魔 サイボーグクロちゃん マタタビ 2007-08-02 17 10 42 (Thu) 虚無のメイジと双子の術士 サガ フロンティア ブルー・ルージュ 2011-12-24 02 53 51 (Sat) 檄・トリステイン華劇団!! サクラ大戦 大神一郎 2009-01-15 22 25 37 (Thu) 虚无(ヤク)い使い魔 3×3EYES 藤井八雲 2008-09-17 00 58 12 (Wed) ゼロの誓約者 サモンナイト ハヤト 2007-12-05 09 49 27 (Wed) 魔法使いと召喚師 サモンナイト クラレット 2008-01-17 18 17 05 (Thu) ゼロの調律者 サモンナイト2 マグナ・クレスメント 2008-03-13 01 51 26 (Thu) 虚無の鍛聖 サモンナイト クラフトソード物語 クリュウ シュガレット 2008-08-03 23 45 08 (Sun) アカイロマジカル 戯言シリーズ 哀川潤 2007-12-13 18 08 08 (Thu) されど罪人は零と踊る されど罪人は竜と踊る ガユス 2008-03-06 16 09 43 (Thu) 仕切るの?ルイズさん 仕切るの?春日部さん モロヤマ1号 2008-12-20 09 09 05 (Sat) 虚無と炎髪灼眼 灼眼のシャナ シャナ 2007-10-23 08 39 26 (Tue) ガラの悪い使い魔 シャドウハーツ1,2 ウル 2007-12-16 00 37 56 (Sun) 珍SD戦国伝 ゼロの大将軍 新SD戦国伝 伝説の大将軍編 烈光ガンダム 2008-03-19 05 24 58 (Wed) 深淵 零 深淵 レディアス=イル=ウォータン 2010-03-17 20 22 32 (Wed) 白州纐纈城 神州纐纈城(石川漫画版) 面と反物 2008-04-27 04 43 32 (Sun) ゼロのボーガー 人造昆虫カブトボーグ VxV 天野河リュウセイ 2007-12-13 18 11 24 (Thu) ピノキオの大冒険 人造人間キカイダー キカイダー 2008-06-02 01 43 12 (Mon) 力を求める使い魔 真・女神転生 カオスヒーロー 2008-11-29 21 24 03 (Sat) ゼロウシャナ日記 真・女神転生II ヴィロウシャナ 2007-10-28 23 30 38 (Sun) カラッポの使い魔 真・女神転生III 人修羅 2007-10-08 02 05 23 (Mon) ゼロの魔人 真・女神転生III 人修羅 2008-01-17 18 45 10 (Thu) ゼロの使い魔「魂を紡ぐ者」 スーパーロボット大戦OG ソウルゲイン(アクセル・アルマー) 2008-05-02 06 53 20 (Fri) 異世界症候群 涼宮ハルヒの憂鬱 朝倉涼子 2007-12-28 08 48 23 (Fri) ゼロの憂鬱 涼宮ハルヒの憂鬱 キョン 2007-08-03 21 30 46 (Fri) 夏休みの使い魔 涼宮ハルヒの憂鬱 キョン&佐々木団 2007-12-14 23 01 52 (Fri) 雇われた使い魔 スターフォックス64 フォックス 2008-03-31 09 52 42 (Mon) ―ハルケギニアの撃墜王― ストライクウィッチーズ ストライカーユニット(のみ) 2008-10-28 17 33 15 (Tue) ストレイト・ゼロ ストレイト・ジャケット レイオットとカペルテータ 2008-11-15 17 08 54 (Sat) S・A in ハルケギニア 『S・A』(スペシャル・エー) 滝島慧 2008-07-31 23 39 46 (Thu) サジタリアスの使い魔 聖闘士星矢 アイオロス 2009-10-03 21 31 26 (Sat) セクシーガンダールヴ外伝 すごいよ!!ルイズさん セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん 花中島マサル 2007-09-01 09 43 15 (Sat) ゼロギアス ゼノギアス グラーフ 2009-10-03 21 37 04 (Sat) ゼロの伝説 ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス リンク 2009-04-03 16 30 02 (Fri) 氣道兵器先行者 先行者 先行者 2008-10-12 02 18 56 (Sun) 虚無のゆりかご ソウルクレイドル 裏主人公(男) 2007-08-27 22 01 32 (Mon) ゼロのかぼちゃ 空の鐘の響く惑星で パンプキン 2007-08-21 00 02 29 (Tue) ルイズ伝・ゼロと竜と世界の話 太公望伝(諸星大二郎) 竜と誰か 2007-10-05 20 51 18 (Fri) ZERO-FACE DADDYFACE 草刈鷲士 2008-03-16 17 43 57 (Sun) 真!! ゼロの侵略者 ~ハルケギニア最後の日~ 真(チェンジ!!)ゲッターロボ 世界最後の日 コーウェン、スティンガー 2008-02-04 08 39 34 (Mon) 風の行く先 XBOX360版 地球防衛軍 ストーム1 2007-11-07 21 52 17 (Wed) 超少女明日香召喚 超少女明日香 砂姫明日香 2008-05-31 23 41 46 (Sat) ゼロのマジックユーザー テイルズオブシンフォニア ジーニアス 2007-12-14 19 31 06 (Fri) ゼロの天使 テイルズオブシンフォニア ミトス 2008-05-23 21 26 17 (Fri) Brave Heart デジモンアドベンチャー02 マミーモン 2009-10-02 21 37 48 (Fri) ゼロのデジタルパートナー デジモンワールド メガドラモン 2008-12-20 13 23 12 (Sat) ゼロの仲魔 デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団 葛葉ライドウとゴウト 2009-07-11 09 19 21 (Sat) ゼロの使い魔異聞~お前の魔法で天を突け!~ 天元突破グレンラガン カミナ 2007-10-12 23 15 14 (Fri) ゼロとアニキ 天元突破グレンラガン カミナ 2007-12-12 21 22 30 (Wed) 秘密結社ゼロシャイム総統ルイズ 天体戦士サンレッド 怪人組織フロシャイム、正義の味方のサンレッド 2008-05-28 00 21 51 (Wed) 創世の使い魔 天地創造 アーク 2008-08-30 13 59 07 (Sat) とある使い魔の一方通行 とある魔術の禁書目録 一方通行 2009-10-11 15 52 04 (Sun) とある虚無の窒素装甲 とある魔術の禁書目録 絹旗最愛 2010-06-21 17 51 13 (Mon) ハルケギニアの鬼が島 東方Project (東方萃夢想) 伊吹萃香 2009-09-26 15 11 43 (Sat) ゼロとフラワーマスター 東方project (東方花映塚) 風見幽香 2007-08-04 00 04 03 (Sat) ゼロの 憑 き魔 東方project (東方妖々夢) 西行寺 幽々子 2008-08-16 18 45 17 (Sat) ゼロの使い魔は魔法使い(童貞) ドスペラード エイジ 2008-12-20 14 01 18 (Sat) .hack//G.U. vol3.5 The World of ZERO .hack//G.U. ハセヲ(Xthフォーム) 2008-09-06 08 41 37 (Sat) 使い魔の中の使い魔 ドラゴンクエスト 竜王 2008-01-07 06 42 40 (Mon) トルネコの大冒険・不思議な使い魔 ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち トルネコ 2008-08-09 12 19 12 (Sat) 使い魔は漆黒の瞳 ドラゴンクエストV 天空の花嫁 主人公(リュカ) 2009-04-18 10 51 28 (Sat) 魔物使いが使い魔 ドラゴンクエストV 天空の花嫁 主人公(リュカ) 2009-05-30 12 46 59 (Sat) ルイズの大冒険 DRAGON QUEST―ダイの大冒険― ダイ 2009-10-03 21 46 28 (Sat) 誇り高き使い魔 ドラゴンボール ベジータ 孫悟飯 2008-06-16 05 50 29 (Mon) 伝説のメイジと伝説の使い魔 ドラゴンボール劇場版 ブロリー 2010-11-07 13 34 46 (Sun) ドリフターズゼロ ドリフターズ 島津豊久 2012-01-02 07 50 50 (Mon) ゼロの写輪眼 NARUTO うちはイタチ 2008-08-20 01 39 56 (Wed) ニニンがゼロ伝・音速の使い魔 ニニンがシノブ伝 音速丸と愉快な仲間 2008-10-28 10 32 41 (Tue) ルイズと博士と時々ダディ BIOSHOCK ビッグダディと無線機 2009-10-11 13 54 41 (Sun) バイ 0 ハザード バイオハザード4 レオン・S・ケネディ 2007-08-08 20 08 02 (Wed) 音速の使い魔 覇王大系リューナイト アデュー・ウォルサム 2008-02-13 16 30 10 (Wed) サーヴァントワイバーン 爆球連発!! スーパービーダマン 西部丸馬&ワイルドワイバーン 2008-07-15 05 23 57 (Tue) ルイズ殿の使い魔がまた死んでおるぞ! バジリスク ~甲賀忍法帖~ 薬師寺天膳 2009-05-14 07 30 31 (Thu) 美的センスゼロの使い魔 バスタード! ダイ・アモン伯爵 2007-10-08 03 02 10 (Mon) はだしの使い魔 はだしのゲン 中岡元 2007-10-31 18 39 18 (Wed) ルイズ! パタリロ! ジャック・バルバロッサ・バンコラン 2007-08-24 19 40 13 (Fri) 愛しのシェフィ ハニー・クレイ・マイハニー ハニの魂が宿った埴輪 2009-09-27 23 02 39 (Sun) 使い魔のごとく! ハヤテのごとく! 綾崎ハヤテ 2007-08-03 00 18 41 (Fri) ゼロのパラサイト 映画「パラサイト」 エイリアン 2008-09-14 19 05 34 (Sun) ゼロのゴースト BALDR FORCE 水坂憐 2007-08-02 23 27 53 (Thu) デュッデュワ~ピンク髪 はれときどきぶた はれぶた 2008-11-03 17 28 10 (Mon) 角のある使い魔 BAROQUE 角女 2008-02-05 16 38 14 (Tue) 蒼い鬼火の使い魔 パンプキンシザース ランデル・オーランド伍長 2007-08-26 22 52 46 (Sun) なりゆきまかせの使い魔 日帰りクエスト エリ(村瀬栄理) 2007-07-27 23 38 07 (Fri) 五系の使い魔 HEROSAGA リク 2008-12-05 23 45 52 (Fri) FF U Z~ファイナルファンタジー アンリミテッド ゼロ FF U ~ファイナルファンタジー アンリミテッド~ 風(黒き風) 2007-07-25 17 42 02 (Wed) ゼロと獅子 ファイナルファンタジーVIII スコール・レオンハート 2015-11-02 23 49 19 (Mon) ゼロの蝶々 武装錬金 パピヨン 2007-08-04 14 36 45 (Sat) ゼロと黒蛇 BLACK BLOOD BROTHERS カーサ(九龍転化前) 2008-11-20 02 43 46 (Thu) 自由人ZERO 自由人HERO ナンバーワンs 2008-03-26 10 37 01 (Wed) ボン太くん・イン・ハルケギニア フルメタル・パニック! ボン太くん 2008-01-07 07 03 13 (Mon) 次元の使い魔 冥王計画ゼオライマー(OVA版) 木原マサキ 2008-08-28 13 54 08 (Thu) 虚無のメイジと、吸血鬼 閉鎖師シリーズ フィオナ・イストラッド 2008-02-06 12 40 15 (Wed) タバサの大尉 HELLSING 大尉 2009-06-28 03 38 02 (Sun) フーケの憂鬱 HELLSING アーカード少女形態、アンデルセン、大尉 2009-06-28 03 41 30 (Sun) 神父様のコートは四次元コート HELLSING アンデルセン 2009-06-28 03 41 58 (Sun) ギーシュの吸血 HELLSING ギーシュ(吸血鬼) 2009-06-28 03 42 53 (Sun) タバ→大尉 HELLSING 大尉 2009-06-28 03 47 19 (Sun) PZero ペルソナ ~トリニティ・ソウル~ / PERSONA - trinity soul 神郷慎 2008-03-11 23 59 23 (Tue) ゼロの仮面~ナイト・アフター~ ペルソナ3 望月綾時 2008-01-17 17 51 44 (Thu) 零神演義 封神演義(藤崎竜) 四不象 2007-08-05 04 55 03 (Sun) ゼロ大師 封神演義(藤崎竜) 軍師・聞仲 2009-10-11 14 08 51 (Sun) 虚無の使い魔だよ!ドクロちゃん! 撲殺天使ドクロちゃん ドクロちゃん 2007-11-25 12 26 25 (Sun) Smoky Servant ポケットモンスター マタドガス 2007-09-17 23 30 17 (Mon) 風船の使い魔 ポケットモンスター フワンテ 2008-09-12 01 31 29 (Fri) 0 to 2 劇場版ポケットモンスター「ミュウツーの逆襲」 ミュウツー 2007-11-13 21 45 00 (Tue) ゼロと波導の勇者 劇場版ポケットモンスター「ミュウと波導の勇者ルカリオ」 ルカリオ 2007-07-20 23 58 05 (Fri) ポケモン探検隊INハルケギニア ポケモン不思議のダンジョン 空の探検隊 探検隊レイダース 2009-06-24 21 59 22 (Wed) ゼロディス 魔界戦記ディスガイア エトナ 2008-10-21 13 53 59 (Tue) 使い魔はPSI能力者 MOTHER3 リュカ 2008-02-12 18 26 19 (Tue) 魔法騎士ゼロアース 魔法騎士レイアース モコナ 2008-02-18 09 53 10 (Mon) 魔術士オーフェン使い魔編 魔術士オーフェン・無謀編 オーフェン 2007-07-31 15 00 33 (Tue) 使い魔は変態執事 魔術士オーフェン・無謀編 キース・ロイヤル 2007-12-13 22 45 27 (Thu) ルイズVSマジク~史上最哀の会合~ 魔術士オーフェン マジク 2008-03-19 04 58 18 (Wed) ゼロのはっちゃけ 映画「マスク」 ロキのマスク 2007-08-27 22 15 25 (Mon) ウサギの使い魔 魔動王グランゾート ラビ 2008-07-29 22 32 05 (Tue) ゼロの因果導体 マブラヴ 白銀武 2008-01-17 18 32 45 (Thu) 物知りな使い魔 魔法少女育成計画 ACES 物知りみっちゃん 2021-09-29 17 27 51 (Wed) ルイズ×なのは(幼) 魔法少女リリカルなのは 高町なのは 2008-02-17 06 19 44 (Sun) ゼロと桃色の魔法使い 魔法戦隊マジレンジャー 小津芳香 2008-02-20 17 04 12 (Wed) カメの使い大魔王 マリオシリーズ クッパ 2015-08-02 16 37 55 (Sun) クライムプランナー Mr.クィン ジェラード・クィン 2008-03-06 16 11 59 (Thu) Missing zero 魔法使いと魔女の物語 Missing 十叶詠子 2008-06-01 00 05 26 (Sun) ゼロノマキバオー みどりのマキバオー マキバオーとチュウ兵衛 2009-10-02 21 16 23 (Fri) ハルケギニア外伝 機忍・零 未来忍者・慶雲機忍外伝 白怒火 2009-09-14 15 20 57 (Mon) ムシウタzero-紫電の使い魔- ムシウタ 獅子堂戌子 2008-01-05 15 53 41 (Sat) わかりました METAL GEAR SOLID 3 BOSS 2007-11-15 22 29 58 (Thu) ゼロと帽子と本の使い魔 ヤミと帽子と本の旅人 コゲ 2007-08-01 04 47 59 (Wed) ゼロの双竜 勇者王ガオガイガー 超竜神(氷竜、炎竜) 2007-08-28 12 57 33 (Tue) 空と戦士と…… 勇者王ガオガイガー ピッツァ 2008-03-07 23 57 07 (Fri) ヘルミーナとルイズ ユーディーのアトリエ~グラムナートの錬金術師~ ヘルミーナ 2009-09-26 15 57 47 (Sat) ゼロの魔王 ライブ・ア・ライブ 魔王オディオ(オルステッド) 2009-10-03 22 04 40 (Sat) ゼロとヲタ少女 らき☆すた らき☆すた世界にルイズが転移 2010-06-13 21 55 07 (Sun) 楽園のゼロ 楽園の魔女たち マリア・ド・パルマーシュ 2008-02-17 06 21 52 (Sun) 約束の地ハルケギニア Riviera ~約束の地リヴィエラ~ エクセル 2008-05-20 21 13 37 (Tue) ハルケギニアの狼 るろうに剣心 斉藤一 2009-10-11 13 43 57 (Sun) 風神が使い魔 烈火の炎 霧沢風子 2008-06-20 02 23 25 (Fri) 赤と桜のゼロ ロックマンゼロ ゼロ 2007-08-16 02 57 42 (Thu) ゼロの名君 ロマンシング サ・ガ 3 ミカエル・アウスバッハ・フォン・ロアーヌ 2009-10-03 22 14 35 (Sat) ZERO 輝く季節から ONE 輝く季節へ 折原浩平 2007-10-08 17 46 41 (Mon) ゼロの使い魔~緑と蒼の使い魔~ ローゼンメイデン 仮面ライダーカブト 蒼星石 矢車想 2009-11-05 20 24 52 (Thu) ルーン・ゼロ・ファクトリー ルーンファクトリー3 マイス 2010-01-21 01 20 28 (Thu) 北斗の拳・外伝 ~零の北斗七星~ 北斗の拳 ケンシロウ 2010-02-21 16 17 06 (Sun) たった一人の監視者 Watchmen ロールシャッハ(の覆面と日記) 2010-01-04 20 03 19 (Mon) ゼロの銃 銃姫 ギース=バシリス 2010-04-30 18 40 18 (Fri) ゼロと魔獣のような悪魔 サモンナイト2 ビーニャ 2010-07-09 15 50 56 (Fri) ゲーム帝国ハルケギニア出張版 ゲーム帝国 語り部 2010-07-12 23 49 07 (Mon) 車輪の国、ゼロの少女 車輪の国、向日葵の少女 法月将臣 2010-07-22 18 36 05 (Thu) 天才と虚無 されど罪人は竜と踊る & されど罪人は竜と踊るDance With Dragons レメディウス・レヴィ・ラズエル(ズオ・ルー化前) 2010-08-17 16 10 28 (Tue) 虚無なりし者 BETTERMAN ベターマン・ラミア 2010-08-26 00 55 42 (Thu) サイボーグ 0009 サイボーグ009 島村ジョー 2010-09-14 18 18 56 (Tue) 罪背負いし双子の使い魔 テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン ディオとメル 2010-10-05 18 38 12 (Tue) Call of duty Undiscovered Country Torisutein Call of Duty Modern Warfare 2 soap mactavish大尉 2010-12-12 18 10 44 (Sun) アウターゾーンZERO アウターゾーン ? 2011-09-06 21 03 16 (Tue) 手札0の使い魔 遊戯王5D’s 鬼柳京介 2011-02-26 21 04 08 (Sat) 計算外な使い魔 世界樹の迷宮III 星海の来訪者 オランピア 2011-02-26 20 46 40 (Sat) [秩序]の守護者 ARMORED CORE MASTER OF ARENA ハスラー・ワン 2011-04-16 16 38 23 (Sat) 黒夜のトッカータ キャッスルヴァニア -真実の嘆き- ヴァルター・ベルンハルト 2011-04-24 22 31 52 (Sun) ゼロのイレブン イナズマイレブン 二期雷門メンバー 2010-02-13 17 22 45 (Sat) 世界を繋ぐ虚無の少女の召喚詩 アルトネリコ2 世界に響く少女たちの創造詩 ルカ&クローシェ 2010-03-07 15 52 30 (Sun) ぜろ☆すた ポケットきゃらくた~ず らき☆すた 泉こなた 2014-02-10 14 29 19 (Mon) GOTHIC DELUSION ZERO ゴスデリ -GOTHIC DELUSION- 不可咲貴路&ファルシュ・ドロレス・ヴァレンタイン 2011-07-03 16 49 48 (Sun) NEVER~新たなる戦いinハルケギニア 仮面ライダーW 大道克己 2011-11-27 19 35 14 (Sun) マリア様が使い魔 マリア様がみてる 小笠原祥子 2011-08-31 10 50 07 (Wed) HUNTER×HUNTER×ZERO HUNTER×HUNTER ゴンとキルア 2011-11-27 20 37 55 (Sun) 使い魔ヨシヒコと零王の城 勇者ヨシヒコと魔王の城 ヨシヒコ 2011-11-27 19 47 55 (Sun) 魔法少女ゼロ☆ベル 魔法少女プリティ☆ベル 高田厚志 2012-01-03 00 18 40 (Tue) ゼロツカ レイセン 川村ヒデオ 2012-05-24 06 45 27 (Thu) つかいまのじかん こどものじかん 九重りん 2014-05-01 12 54 50 (Thu) 聖戦士イーヴァルディ伝説 聖戦士ダンバイン ミ・フェラリオ、オーラマシン 2012-05-15 21 45 14 (Tue) ゼロの円卓の騎士団 SDナイトガンダム物語外伝 円卓の騎士団 2012-07-15 17 33 56 (Sun) ゼロの使い魔BW ポケットモンスター ブラック・ホワイト 主人公(男) 2012-08-09 22 27 51 (Thu) トリステイン魔法学院Z 超能力学園Z バーニー&ペイトン 2013-02-05 18 57 04 (Tue) 上へ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3230.html
前ページ次ページゼロと疾風 黒い壁があった。それは、例外なく目の前に現れる。ストリートのガキにも、大統領でさえ。 ほとんどのモノは、それを砕くことは出来ず、乗り越えようとするモノは爪が剥がれ、赤い筋を残すことになる。 ほとんどのモノはその壁から目をそらす。しかし、その壁に真っ向から向かい合っているモノもいる。 その黒き壁にあがこうとする人間がいる。この物語はそんな人間の物語。 現在、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは医務室にて頭を抱えて一人の男を見ていた。男はベッドの上で気を失っている。 ルイズは二年生へ進学する際のサモン・サーヴァントによってこの男を召喚・契約したのだ。 「なんで、こんな奴召喚しちゃったのよ・・・・・・」 先日、「サモン・サーヴァントには自信がある」と言ってしまったばかりである。 その結果がこれ。 本来、動物や幻獣を召喚するサモン・サーヴァント。その、儀式で人間(そのうえ、気を失っており、かなり傷ついている)を召喚してしまったのでルイズは周りのギャラリーから笑いものにされた。 その場にいたコルベール先生が彼の身なりから判断し。 「彼は凄腕の傭兵であるにちがいない」と言っていたが、メイジに平民に敵うはずが無い。 いくら、凄腕といっても平民の傭兵を召喚しては意味が無い。 「どうしようかしら・・・とりあえず、雑用でもさせようかな?」 ルイズがそんなことを考えていると男の眼がゆっくりと開き、起き上がった。 白髪の男性はチップという。彼は自称ジャパニーズ、しかし、大統領を目指している忍者である。 チップが長い眠りから眼を覚ました。頭がまだぼやけている。 チップはよく頭をめぐらせた。 (そうだ、I=NOのやつと戦っていたら急に何かに巻き込まれたんだった・・・) チップはI=NOの時間移動に巻きこまれたのだ。そんでもって、気がついたここにいる。 「やっと気がつたのね」 声のした方向を向いてみると一人の少女がいる。ルイズである。 「まずは自己紹介でもする?私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。一応よろしく」 隠れた表情を読むのは忍びの基本だ。チップが彼女から読み取った表情。 見下し、怒りをとおり越した諦めetc 少なくともチップの嫌いな人間に当てはまっている。 しかし、相手が名乗ったのだ。自分も名乗るのが筋だろう。 それに、ここが何処だか分からない。 「チップ、チップ=ザナフだ。ここは何処だ?薬品の臭いがするってことは病院かなんかか?」 「ここは、トリステイン王国・トリステイン魔法学院の医務室よ」 チップの聞いたことが無い地名だ。それに、魔法学校というのは法術に関する機関だろうか。 「とりあえず、ここを出ましょう。私の部屋で貴方が今置かれている立場を教えてあげるわ」 チップがルイズとの状況確認によって分かったこと。 この世界(月が二つあるのでチップのいた世界ではない)では魔法使いがいて、彼女は魔法使いの貴族である。 そしてこの場所は貴族が通う魔法学校である。 学生は二年生になるとき使い魔を召喚する。 チップはその使い魔を召喚するサモン・サーヴァントによって召喚された。 召喚される使い魔は自分での選択は出来ない。 使い魔は本来幻獣や動物が召喚される。 一度召喚されたからには変更は出来ない。(召喚のやり直しを求めたが却下されたらしい) チップとはもうすでに契約を行っており、証拠は左手に刻まれているルーン。 元に戻る方法は少なくも彼女は知らない。 大体こんな感じだ。他にもなんか言っていたが正直チップは興味なかった。 ルイズがチップとの状況確認によって分かったこと。 チップは異世界から来た。 (幾つかその世界について質問したがすぐに答えが返ってきた。特に矛盾点は無く嘘をついている様子も無いので一応信じる) チップは異世界ではニンジャという種類の傭兵である。 現在、ローニン(雇い主無しのフリー状態という意味らしい) チップの世界には法術があり、それは魔法と少し似ているらしい。 I=NOという女と戦っている最中、その女の何かに巻き込まれ気がついたらここにいる。 他は特に興味なし。 部屋着いてからこれらの状況確認に1時間かかった。この時間が短いと感じるか長いと感じるかは皆さんの自由だ。 「とりあえず、私は貴方の生活の保障、それと元の場所に戻れる方法を探すわ。 その代わり、あんたはその間私の使い魔、つまりわたしに雇われる。それでいいわね?」 「しょうがねえな・・・わかったよ」 ちなみに、状況確認からこのやり取りまで、更に30分間。正直メンドイので省略。 こうして、チップとルイズの生活が始まった。 「とりあえず、もう疲れたわ。朝になったら起こしてね。それと、洗濯頼んだわよ」 「はあ?なんで俺がそんなことしなきゃならないんだ?エリカだってそんなこと言わなかったぞ」 「エリカって誰よ?」 「俺が前仕えていた奴だ。大統領をやっていたな」 「ダイトーリョーってなに?山賊や大工の凄いバージョンの親玉?」 「国の代表だ、王様みたいなもんだ。いや、王様は『成ることが出来る』もんだが大統領は『選ばれなきゃ成れない』つまり、王様より偉い奴だ」 「へー」 「でもって、俺はその大統領に雇われていたが、 そんなこと頼まれなかったぞ。王様より偉い奴がしなかったことをテメエはするの?」 「う・・・」一時間半以上の怒鳴りあいによって疲れているルイズには論破する気力はなかった。 「洗濯ぐらい自分でやれ、あと自分で起きろ」 ルイズとチップの生活は前途多難だ。 「じゃあ、あんたが寝るところだけど・・・」 「別に必要ねえよ」 「へ?」 「忍びは闇に潜み主を守る。用があるなら手を叩け」 そういうとチップは闇に消えていった 部屋に取り残されたルイズは考えていた。 雑用などは断っていたが、あの身のこなしは凄い。 「意外と使えるのかな?」 最初決めていた彼の扱いを少し変えなくては、と考えた。 しかし、今は眠い。 「明日考えよ」 ルイズはそういい終えると服を脱ぎ、ベッドにもぐり寝息を立て始めた チップはやるからにはやる男だ。 物には必ず『芯』がある。守るも攻めるも、まずはこの芯を押さえる。チップはまず魔法学校の芯を探した。 歴史の古い建物というだけあって、様々な隠し部屋・隠し通路などがあった。 チップはその中のある隠し部屋に陣取った。ここなら、どんなことが起きようとすぐに分かる。 チップも疲れていたのか、全神経を研ぎ澄ませて眠りについた。 前ページ次ページゼロと疾風
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8687.html
前ページ魔法少女ゼロ☆ベル 普通の人なら丸一日かかる量の薪割りを、わずか一時間程度で終えた厚志は、そろそろルイズを起こした方がいいだろうと思い、シエスタに洗濯物をルイズの部屋まで届けてくれる様に頼むと主人が眠っている部屋へ戻った。 部屋に戻ってみるとルイズは、朝部屋を出る時と、全く変わらぬ寝顔で寝ているのであった。フッと軽く笑いながら厚志はルイズに声をかける。 「ルイズ君。もう起きる時間だぞ!」 「うーん?……キャア!あんた誰よ!」 目覚めたら、いきなりマッチョが自分の部屋にいる事にルイズは驚愕した。 「ヒドいなあ。昨日、君が召喚した使い魔だよ。」 ああそういえば…と、ルイズは昨日の使い魔召喚の儀式で彼を召喚した事を思い出した。 「もういきなり驚かさないでよ!変質者か泥棒だと思ったじゃない!」 「スマンね。できるだけ優しく声をかけて起こしたつもりだったんだけどね。まあこれからは慣れてもらうしかないよ。」 ルイズは明日から自分で目覚めようと誓うのであった。慣れる前に朝一で驚いて心臓が止まってしまうんじゃないかと感じていたからである。 「じゃあ、着替えと下着を取って。そこのタンスに入ってるわ。」 「これかい?」 「そうよ。丁寧に扱ってよね。あんたじゃちょっと力入れただけで破りそうだし。」 「はいはい。」 厚志は洋服タンスからルイズの下着と着替えを取り出す。 「ほら着替えさせなさい」 「ルイズ君。貴族は自分で着替えもできないのかい?」 ルイズのあまりに無茶な命令に厚志はあきれ気味に質問するのだった 「そんなわけ無いじゃない!ちゃんと出来るわよ。あんたは私の使い魔なんだからそれくらいしても当然なのよ。それと他人の前では「君」は止めなさいよ。様付けで呼びなさい!。それからあんたは私の使い魔なんだから、私の言う事は絶対服従しなさい!」 どうやらルイズは厚志を使い魔として教育・調教していくつもりらしい。 一方厚志は彼女を「守る」事には賛成だが、自分の生き方まで変える気は全く無いので、彼女にそこだけは譲れないと話すのである。 「「様」付けまでは了承しよう。ただし自分の事は自分で出来てもらわなければ、私も使い魔としてのやりがいを見いだくなる。私は君を命をかけて守る!君も私の主人に相応しい存在になってもらわなければ、使い魔の契約は破棄させてもらおう!」 少し強めの言い方で、ルイズに警告をする。 冷酷な様であるが高田厚志という人は優しい心を持っているが、いざ戦いとなれば徹底的に時には非情にもなれるくらい厳しい人である。 ルイズにも成長して欲しいと思うからこそ、時には冷酷に優しく見つめていこうと誓う厚志であった。 「ひっ!わっ、分かったわよ!……何よ。使い魔のクセして…」 ルイズはちょっと脅えながら、ブツブツと自分で着替えを行うのであった。 「えーとルイズ様?今日の予定は?」 ルイズの着替えを見ない様に厚志は声をかける。 「この後はまず朝食よ。その後は午前中は自分の召喚した使い魔を連れて共に授業をうけるわ。午後からは普通の授業があるくらいね。」 ルイズの着替えを終え、朝食をとるべく食堂へ向かう際にルイズの部屋と、真向かいの部屋の住人と対面する 「あら、おはようルイズ。」 「おはよう、ミス・ツェルプストー。」 ルイズの態度からこの赤毛の女性との仲は、あまり良くないようだなと感じた厚志であった。もっともルイズだけが毛嫌いをしているように感じた。女性はむしろ好意をもってルイズに接しているようだ。 「はじめまして。ミスター? 」 「私は高田厚志と申します。ルイズ様の使い魔をやらさせていただいております」 とりあえずルイズとの約束を守るため、使い魔として挨拶を行う。 「あらどこかの誰かとは違って礼儀正しいはね。私はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーていうの、長いからキュルケって呼んでくださる」 「ちょっと!ツェルプストー!人の使い魔を誘惑してるんじゃないわよ!」 どうやらこの二人のケンカは日常茶飯事らしく、他の生徒は慣れたように2人をかわして食堂にむかうのであった。 「あー。2人とも早くしないと朝食がとれないよ?」 厚志は2人をなだめて、食堂へ向かう。 「あなた朝食はどれくらい食べるの?結構大食でしょ、その体格だし。」 ルイズは厚志の食事について心配していた。事前に少し多めの用意を頼んであったが、足りないかもしれないので、彼の食事について聞いてみた。 「栄養バランスがよければなんでも大丈夫だよ。わがままをいえばプロテインが、あればなおいいんだけど。」 「プロテイン?なによそれ?うーん、そうだ!厨房へ行って料理長に聞いてみましょう。多分あなたと同類だから。」 「同類?」 「行けば分かるわよ。」 食堂の厨房に入ってみると、やたら威勢のいい声が厨房内を飛びかっている。 「おら、なにやってんだ!鍋が吹いちまってるだろうが。」 「バカやろー!もっと腰を入れろ!そんなへっぴり腰で旨いもんが作れるか?」 明らかに他のコック達よりでかく厨房をしきっている人物に声をかける。 「ちょっとマルトー親方?私の使い魔に朝食をあげたいんだけど?」 「食事なら全部用意してあったはずだが、何か足りないんですかい?」 男はトリステイン魔法学園の厨房の主マルトー、厚志並ではないが腕の太さは丸太程あり、厚志と共通の何かが感じられる人物である。マルトーは厚志を見て 「兄ちゃんいいガタイしてやがんな!ああそういえば平民の使い魔を召喚した貴族さまがいるって聞いたがまさかヴァリエール嬢のことだったんですか。」 マルトーは夜の勉強の為に、たびたび夜食を頼んでくるルイズと顔見知りである。貴族ながらも努力しているルイズに対しマルトーは認めているのだった。 「そうよ。じゃ私は食堂で食べてくるし、後は親方に聞きなさい」 ルイズは食堂の方に向かい、厚志はマルトーに食事について注文をした。 「そのプロテインてのは分からねえが、要は栄養材の一種だろ?ツテを頼って仕入れといてやるよ。他ならぬヴァリエール嬢ちゃんの使い魔さんの頼みだ。何とかしてやるよ。」 「ありがとうございます。じゃあ、もう時間もあまり無いですし、卵を複数個と大ジョッキ貸してくれますか?」 厨房内は一瞬で静まり返る。他のコック達は冷や汗が止まろなくなり、メイド達は気分がわるくなったと厨房から逃げるように出ていった。 そんな中なぜか満面の笑みを浮かべジョッキを2つと大量の卵を用意する。 「お!分かってるね~。俺も朝一はこれが無いと始まらねえんだよな。周りから気分が悪くなるから止めてくれって言われてるんだが、ついに分かり会える同士と出会えたか!」 2人は慣れた手つきでジョッキに生卵を次から次と入れ、ジョッキ満タンになった所で、「体に乾杯!」と生卵を一気飲みしていくのであった。 周りのコック達はそんな彼らを怪物でも見るのように気分悪げに溜め息をつくのであった 前ページ魔法少女ゼロ☆ベル
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8328.html
ルイズが召喚したのは生後まもない女の赤ん坊であった。 はじめは皆かわいいということではしゃいでいたのであるが、この子がとんでもない嵐を呼ぶ乳児だと知るのはすぐであった。 今日もまたルイズの部屋で。 「エッヘッヘッ」 「こらーひまわり! あたしの宝石を持っていくんじゃないの!」 「タタタタタ」 「まちなさーい! あっ、きゃーっ!」 ドガンッ!(ルイズが壁にめり込む音) 食堂に来れば。 「あらギーシュ」 「ほう、これが君の使い魔か。赤ん坊を召喚するとはさすがゼロのルイズ」 「けっ(ギーシュの顔を見て吐き捨てる音)」 「なっ、なななな!!」 また、アルビオン。 「イヘヘヘヘ」 「ねえひまわりくん、そろそろ離してくれないかな。ぼくは皇太子として戦場にいかねばならないのだが」 「こらひまわり! ウェールズさまから離れなさーい」 「たーい、たーい!(もちろんてこでも動かない)」 そして春日部では暗黒タマタマのノリでひまわり奪還大作戦がはじまっていたとさ。 クレヨンしんちゃんから野原ひまわりを召喚
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5634.html
前ページ次ページデジモンサーヴァント 「はあはあ……」 俺は走る。 無我夢中で。 気がついたら、俺は何故かこの姿になっていた。 気がついたら、俺はリアルワールドにいた。 気がついたら、俺は見たことも無い機械を手に持ち、何故かそれの名前を知っていた。 人間たちが、俺を恐れている。 恐れていない人間たちは、他のデジモンたちと連携して、俺を捕まえようとする。 彼らは俺に呼びかける、「危害を加えるつもりは無い」と。 それを聞き、止まろうとして、突如として正面に現れた鏡のような物体に俺は突っ込んでしまった。 その日、一人の究極体が錯乱状態で都内を彷徨い、突如としてその姿を消した。 分かっているのは、我々の呼びかけに反応し、止まろうとしたことだけである。 俺がサイバードラモンと出会った方のデジタルワールドから来たのか、賢と出会った方のデジタルワールドから来たのか……。 ひょっとしたら、どちらでもない全く別のデジタルワールドから来たのだろうか? 真相は闇の中だ……。 秋山リョウ 第一節「ナイト・オブ・ザ・ミョズニトニルン」 視界が晴れると、そこは草原だった。 そこには、さっきまでいたリアルワールドのそれとは明らかに違う服を着ている人間たちがいる。 自分が召喚した者を見て、ルイズは戸惑った。 漆黒の鎧をまとい、マントを羽織った、目の前の存在に。 他の生徒たちは、メイジを召喚したのかと、どよめく。 だがルイズは、何となくではあるが、目の前にいるのは人外ではないかと思った。 「ここは何処だ? 教えてくれ」 彼が声を発し、それにルイズは自然と応えた。 「ここは、トリステイン魔法学院よ」 「聞いたことが無いな……。俺は……アルファモン。君の名は?」 「ルイズよ」 「ルイズか……。ルイズ、俺は、何故ここにいるんだ?」 何故か憔悴しているアルファモンを落ち着かせようと、自分が召喚したと告げようとした直後、隣にいるコルベールに遮られた。 「ミス・ヴァリエール、他の生徒たちを待たせてはいけません。先に契約を済ませてください」 コルベールに促され、ルイズは渋々先に契約を済ませることにした。 「ごめんなさい、事情は後で話すから」 アルファモンに謝罪し、コントラクト・サーヴァントを詠唱して、口付けした。 アルファモンは驚くより先に、凄まじい熱さを額に感じ、思わずうめく。 その額には、純白のルーンが刻まれていた。 「い、今のは!?」 「大丈夫、ルーンが刻まれただけよ」 その日の夜、ルイズは自室で、アルファモンにこの世界のこと、サモン・サーヴァントとコントラクト・サーヴァントについて、アルファモンに教えていた。 アルファモンは、自分がルイズによって召喚され、そしてあのときのキスで使い魔になったことを知る。 落ち着きを取り戻したアルファモンは、不思議とその事実を受け入れていた。 究極体である彼に、ルーンの洗脳効果は効かない。 彼は自分の意思だけでそれを受け入れた。 ルイズは、今度は問い質した。 何処から来たのか、何者なのか、そして召喚された時に手に持っていたものは何かを。 アルファモンは、淡々と答える。 「俺は、こことは違う別の世界から来た、「デジモン」という人外の存在だ。そして、これに関しては「デジヴァイス」という名前以外全く分からない」 「別の世界から来た!?」 「そうだ。俺はデジタルワールドと呼ばれるデジモンたちが住む世界から、人間たちが住むリアルワールドに迷い込み、そこで君に召喚された」 「そうなの……」 そして、アルファモンはルイズにデジヴァイスを手渡した。 驚くルイズを尻目に、アルファモンは続ける。 「これを君に」 「いいの?」 「何となくだが、君が持っていた方がいい気がするんだ」 そう言って、アルファモンは更に続けようとするが、思いとどまった。 広場から、女子寮へと行く際、違和感を感じた。 ルイズだけ、歩いていたことに。 何故ルイズだけ歩いていたのかを聞こうとしたのだ。 (俺は今、聞いてはいけないことを聞こうとした……) 気を取り直し、アルファモンはそっと話題を変えた。 「ルイズ、使い魔とは、何をすればいいんだ?」 「使い魔には三つの役目があるの。感覚の共有に秘薬の材料の調達。そして主の身を守ること」 ルイズの説明に、フムフムとうなずくアルファモン。 ルイズは試しに目を閉じる。 そこには、アルファモンを見上げながら両目を閉じた自分の姿が移った。 「感覚の共有は可能みたいね」 「秘薬の材料の調達だが、俺はこの世界に来たばかりだから無理だな。そして最後の一つ……、俺にうってつけ、だな」 「あなた、強いの?」 「あまり嬉しくはないが、強い」 そう言って、アルファモンはうつむく。 悪いことを聞いてしまったと勘違いしたルイズは、思わず謝りそうになったが、アルファモンに先手を打たれた。 「君は悪くない。悪いのは、勝手に感傷に浸った俺の方だ」 アルファモンはそう言って立ち上がり、ドアに手をかける。 「何処へ行くの?」 「散歩も兼ねて、学院内を探検してくる。安心しろ、逃げたりしないさ」 夜の学院を、アルファモンが歩き回る。 アルファモンは、学院の内部をある程度見てまわったところで食堂に入り、小さな人形たちが踊る光景を目の当たりにする。 アルファモンにとって、それは不思議以外の言葉が当てはまらない光景だった。 「魔法で動いているの、か?」 アルファモンを尻目に、アルヴィーたちは踊り続ける。 彼らの踊りをしばらく眺め、やがて飽きてきたアルファモンは食堂を出ようとした。 しかし、背後に気配を感じ、右腕を振り回しながら物凄い勢いで振り向く。 そこには誰もいない。 よく見ると、ネズミが月明りに照らされていた。 「ネズミか」 そう言い残し、アルファモンは食堂を出た。 アルファモンの足音が徐々に遠くなる。 聞こえなくなった直後、ネズミは暗がりへと逃げた。 直後、そこから人のようなものが現れる。 「空白の席の主……、まさかこの目で見れようとはな。我(われ)がオスマンの使い魔となりて百と五十年。これだから人間の側にいるのは止められぬ」 平時はネズミに化け、モートソグニルと呼ばれる、オールド・オスマンの使い魔。 七大魔王が一人、リリスモン。 「弄りがいがなさそうだから、代わりにルイズの方を弄ってやるかの」 リリスモンは月明りに照らされながら微笑んだ。 次回、「アイ・アム・ナッシングネス」まで、サヨウナラ…… 前ページ次ページデジモンサーヴァント